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ブログタイトル変えました。中身は変わらずKUONです。

あきのひの

わすれなぐさ


        ヰルヘルム・アレント
        上田 敏 訳


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  ながれのきしのひともとは、
  みそらのいろのみづあさぎ、
  なみ、ことごとく、くちづけし
  はた、ことごとく、わすれゆく。

       

   落葉


              ポオル・ヴェルレエヌ
              上田 敏 訳

  秋の日の
  ヴィオロンの
  ためいきの
  身にしみて
  ひたぶるに
  うら悲し。

  鐘のおとに
  胸ふたぎ
  色かへて
  涙ぐむ
  過ぎし日の
  おもひでや。

  げにわれは
  うらぶれて
  こゝかしこ
  さだめなく
  とび散らふ
  落葉かな。


                 「海潮音」より



ながれきにけり

京の五山の送り火を、テレビに眺めて。今年は奈良の万灯籠にも行きませんでした。

ばたばたと自分なりに忙しかったお盆の行事も済ませることができました。

豆腐や冬瓜や茶がゆや揚げさんや。病人食みたいな和のごはん、びっくりするようなお値段ですが、お盆休みの終わりの日に、落ち着けるその店でいただくのが、習慣のようになっています。若いころはまるで物足りなくて、その「禅ご飯(笑)」解散後に、肉を食べに行ったりもしました。

今はもう、お腹と気持ちをじんわりとぬくめてくれる茶がゆの美味しさを、夏の終わり近くの味の記憶として(大層ですが)家に持ち帰るようになりました。


このごろ、美味しいかき氷を出してくれる店が増えたように思います。

もう、今はむかし、の話になりますか。

奈良の三条通(JR奈良駅から春日大社までまっすぐな道)に、客が三人も入ればいっぱいの、小さな小さな甘味処がありました。

ご夫婦で、かなりのお歳になられるまで営んでおられたその店の、かき氷が、なんともふんわりと美味しかった。

いつも小倉抹茶を頼んでいました。卓は、かき氷とスプンを載せた小さなお盆のほかは何も置けないサイズ。年代物の四角い椅子は、私には窮屈なものでしたが、時々、通りかかった時にふらりと入って、注文をして、透明な氷の塊りが、シャッシャッシャッと削られて行く音を楽しみ、明治のガラスみたいな古風な花びら型の容器が、濃い抹茶色のシロップをかけられ、奥さまが炊かれると聞いた小豆を戴いて、運んで来られるのを、ひそかにわくわくと待ったものでした。

下戸ですが、そんなに甘いものが欲しくてたまらない、というのでもない。その店のかき氷が、好きでした。

自分の店を閉じてそのあたりを歩かなくなり、通っても車で走り過ぎるくらい、十五年が経った今では、あの甘味処はありません。


時々モーニングサービスを食べに行く珈琲店の小倉抹茶を、先日つれあいが頼んだら、ふんわりほわほわのかき氷が運ばれて来て。

先に奪ってわたしが一口食べた、美味し!。キカイのええのが出来たのか。

それから、これも時々サンドイッチを食べに行くコメダでも、頼んでみました。ここのも美味しかった。

この夏、五回くらい、かき氷に吸い寄せられました。

お伊勢参りの帰りに食べた、焙じ茶のかき氷も忘れ難し。


いまごろのうたを探していたら。


すてきな一首が見つかりました。



  ただひとつ 風にうかびてわが庭に 秋の蜻蛉のながれ来にけり

     ただひとつ かぜにうかびて わがにわに あきのとんぼの ながれきにけり

                                      若山 牧水


それと。芥川龍之介の俳句一句。


  初秋の蝗つかめば柔らかき

     はつあきの いなごつかめば やはらかき


まだ稚(わか)い、からだの固くなっていない蝗だったのですね。触感の句、さすがとうなります。

自死の少し前の句とのことです。



ジャムのかなしみ

書きたいことはいっぱいあるのですが、今日は時間が足りませんでした。

また読んでみたいと仰って下さる方があり・・・以前の記事です、二度目の再掲です。

・・・・・・・


         ジャムのかなしみ


朝ごはん食べられない

きのうの夜のごはんが まだどっかへ行っていない

ジュースだけ飲む

ジュースを飲んだからそれで おわりになった

ママは寝ている

パパは起きている

ろうかであの人たちに会った

おじいさんはちらっと見た

おばあさんはうつむいた

おばあさんはわたしをみたくない

庭にでる

すごい音がしている

気がついたときに聞いた  あれは何なの

セミだそうだ

セミ

大きなこえだ

落ちている虫がいたので聞いたら

セミだと言った

セミ

おちていて死んでいた セミ

もう鳴かないと思ったら また鳴いている

たくさんいるんだ セミ

好きな石のところへ行く

座るのに好きな石

だれにも言わない この石

さくら がさいていたころに

すわって桜をみていた

きもちよかった さくら

いつまでもふっていた 雨みたいにつめたくなくて

なんにも言わないでふっていた

口にもきた

まゆげにも来た

さくらはやさしい

さくらが来ても びくっとならない

ずっと見ていた

あとでパパが何をしていたのって聞いた

きょうは何をしていたの

「さくら見ていた」

パパはわらった

ママはフンって言った よこ目でみた

わたしは変わったこなの



石があつい

でもだいじょうぶ 座れる

この前きたとき石はもっとあつかった

足のうしろがあつくてびっくりして

スカートを引っぱって座ったけど

やっぱりあつかった

きょうはだいじょうぶ

ずぼんをはいているからビクッとならない

耳のあっちからも

こっちからも   

セミが聞こえる

あたまのうしろの方にもいる

上からも声はくる

あたらしいのが鳴きはじめるとしずかになって

またわんわんみんなで鳴いている

わたしにはきょうだいいない

セミにはいる


静かです

セミはいるけどしずかです

だれかがわたしをよんでいる

呼んで へやに入れて  いなくなるのに 

へやに入れるために呼ぶの  いつもそう


立って 声の方へ行く

セミがおちている

死んでいる

ふまないように 行く


思い出した

パパはセミをよけて歩く  あるいた  いつだったか

ママはセミをふんだ

おちてパタパタしていたセミを

ふんで ふりむいて わたしを呼んだ

はやく来なさいよ

わたしはとってもイヤ

あのママの「よ」が

わたしのことを きらいみたいな「よ」です

いつかふむ かな ママを





ほととぎす   辞世二首

名古屋のいとこから珍しく電話がかって、瞬時に切り替わった名古屋弁を駆使して話していたら、味噌カツが食べたくなりました。

味噌煮込みうどんも。駅前ビルのあの店の、めっちゃくちゃ美味しいでっかい海老ふりゃあも。

現実には、いま目の前に並べられても、せいぜい、きしめんにしか手が延びないかもしれませんが。

昔の食欲、いまいずこ。名古屋恋しやホーヤレホ。で(強引な「で」ですね)、どれだけか前の、この記事を再掲させてもらいます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


柴田勝家は、織田信長に見いだされ、忠義の人だった、と云われます。

本能寺の変の後に秀吉との対立が深まり、賤ヶ岳のたたかいで敗れて、越前北の庄にたてこもった。

覚悟を決めて、妻に、城から逃れるように説得しました。

勝家の妻は、信長の妹、市。

戦国一の美女と呼ばれた女性です。

お市の方は、けれど、逃げないと言う。

お市の方にとって柴田勝家は、最後の夫。

戦国の女の常として、それまでの彼女は、夫を殺され、娘たちのために城を後にし、言われるままに再婚し。

一人息子は串刺しにされて殺されました。さんざんな目に遭っていました。

勝家は、市に優しい夫で、大切にしてくれました。娘たちは成長して、もう、母親である自分を、どうしても必要とするということでもない。

かつてのように、城を後に落ちたとして、命は助かるとしても、そこにいるのは、あの、さるというより兄はハゲネズミと呼んだ、秀吉。

秀吉が、何をどうしても自分を欲しがっていることは、とうに判り切っていたこと。

今度こそあの男は、自分に向かって来るに違いない。

初めの夫をあやめ、息子を処刑し、兄の跡をそっくり抱え込んで、今では、権勢の限りを・・・

あの、ハゲネズミ。指いっぽん、触れるどころか、半径10メートルにも近寄らせてやらんわ。

交換条件いっぱいつけて、来るんだろう、あのげせんは。


いやなこった。

こうなってまったら、言うこと聞いたらんなんことも無いわな。たあけらしなってまってどんならんわ。

そんなとろくしゃあこと、なんで私がしないかんの。

たあけらしいわ、のれんわ、そんなこと、あいつの顔なんかもう、見るのもケガラワシイでかんわ。

正直わたしも疲れてまった、いろんなこと、いっぴゃあ、あったんだも。

娘んたらあは、なんとか、やってくだろ。

私だってもう、自分のためにものごと決めたって、ええはずだないかね。

やりてゃあように、やらしてもらってええわね、まあ、そゆことだと思うんだわ、許してもりゃあてゃあ、おとっさんもおっかさんも、兄さまだって、そう、思やあすはずだも。

まあいっぺん、出てって、なんか、やり直す、むりむり、疲れてまった、無理です、それと、まっと他になんでかしゃん、言うなら、よう。

この夫と一緒に、行くんだったら、落ち着いて逝ける気が、する・・私が、苦しまんでもええように、うみゃあこと、してくだしゃあす気が、する、それが、いちばんええことみてゃあに、思えるもんで、こうせなもう、しょうがにゃあんだわ、な。

・・・なんでここへ来て、名古屋弁しゃべっとるか、わからんだども。

この人は、ええダンナさんでいてくれやあた。

一緒に行かいてくだしゃあ、て、さっき、言ってまった、そんだら、そおか、と、にこおっと笑って、言ってくれやあたで。

やっさしい目で、言ってくれやあた、もう私、気がすんだだわ。

気持ちが、すううっと楽んなって。

もう、生きとりてゃあ欲もにゃあ。

男の人んたらあは、国が欲しい名が欲しい、欲しい欲しいでジタバタ、生きとりゃあす。

女が欲しいモンは、そんなもんと違うんだわ。

まあ、いちぎゃあに女、言っても、いろんな人がおらすけど・・

私は、このヒトのとこへ来て、ほっこら、包まれたみてゃあで、初めて、ゆっとりと、ダンナさまのそばにおった気がする、そんでよかったんだ、私も、もう、わきゃあことは無かったんだも、ゆっくり、ジタバタせんでええ、そゆのがよかった、続かんかったけど、それはまあ、ええね。

ここで、この人と、死んでくんだ。

それが、わたしの、最後の道だ、思うんだ、

一本の、まっすぐな、きれえな道だと、思うんですわ・・・


とか、お市の方が、考えられたかどうか。

あくまで即興、ジャズみたいなもんです(かっこ良すぎるか・恥)


今日こそ城は落ちる。落城。というその日。

気持ちを定めて、しずかなこころで夫婦は、天守閣から外の様子を、眺めたようです。

ほととぎすの季節だったのですね。

ホトトギスは、ひとくみの夫婦の終焉の直前の静寂の中で。どんな声で、鳴いたか。



   さらぬだにうちぬるほども夏の夜の

   わかれをさそふほととぎすかな

                    お市の方 辞世


勝家の思いは、どうだったでしょう。

主家筋の美しい女を、思いがけなく妻として。

その妻は、意外にも、自分に寄り添って、やわらかい妻でいてくれた。

しあわせ、というものだったのだろう、この女と過ごした月日は。

そして今。最後の時を、共に迎えるという。

わが名をそそぐのは、後の世の、こころある誰か。そんな者が、いるとすれば。

市は、のがれぬと言う。

そう聞けば、この女の命が惜しい。

もっと生かしておいてやりたい。

そんな気持ちはある。あるけれど、

・・・もう何も望むことは無い。

これでいい。充分である。

(とか、勝家氏が思ったかどうかはわかりません、そうじゃないかな、そうだったらよかったなあ、の、くおんちっくな妄想で。

妄想です。)



   夏の夜の夢路はかなき跡の名を

   雲居にあげよ山ほととぎす


                    柴田勝家 辞世




いっときの後。

柴田勝家は城に火を放ちました。

お市さまの胸をつきました。

ご自身は武士らしく腹を召された・・・十文字に腹を切っての自害だった。

と、いわれています。


 

目にはさやかに

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

  あききぬと めにはさやかに みえねども かぜのおとにぞ おどろかれぬる

                      秋立つ日詠める        藤原敏行


きょう八月七日は、暦の上では「立秋」です。

秋がもう、立ったらしいのです。

とはいえ現実はなかなか。台風5号がいま、アタマの上を通過中だとかで、雨の音風の音、すごいです。

いつもどんなこともそうですが、後にならないと大変なことははっきり見えて来ません。この雨や風の影響で、どんな被害が起きているやら、今の段階ではわかりません。

できるならば大きな被害が発生していませんように、と、願うばかりです。、


うたの話を少し。


秋が来たということは、さやかに・・はっきりとは・・見えないが。今日の風の音に、はっと気がついた…といううた。

まだ実際には、疲れ果てるほど暑い日々が続いています。秋? ウソでしょ、という感じ。そうではありますけれど。

立秋の頃を「涼風至(りょうふういたる)」といいます。

季節を先へ先へと追ってゆくのも、うたの世界の習わしなのですね。

台風が去った明日は、どんな朝が来てくれるのでしょうか。

窓を開けるとき。

庭に洗濯物を干しに出たとき。

暑くなる前に犬を庭に放って遊ばせてやる時間、ふと、かすかにも、秋の気配を感じられたらいいなあと。

今はいささか雨音、風の音もおとなしくなって来ている気のする夜半に、思っています。



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としどしに わがかなしみは ふかくして 

いよよはなやぐ いのちなりけり


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やはり赤い口紅が好き。


ものすごく唐突ですが、私、口紅(だけ)はシャネルよ。(笑)。

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