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夕日が海に

     夏の海きれいだったなばしゃばしゃと夕日が海に溺れて行ったよ

今は行きたくないよ~と、泣きをいれつつ仕事にてあれば韓国・ソウルへ発って行った娘が、今の孫娘と同じ二年生だった夏に詠んだ歌です。

身内ばかは承知のうえで「好き」なうたでもあるので、書かせていただきました。

先日観に走った映画「あなたへ」の中に、まさにこんな夕陽が描かれていました。

公開間もない映画で、ネタバレ、というのですか、それになっても申し訳ない、と思いますが、感動の鮮しいうちに、書きとどめておきたいと思います。

高倉健、の、歩く足取りが、いささかおぼつかなくて、既に若くない男の歩き方であることに、まず、とらえられたのです。

妻に先立たれてアイロンかけをしている、そこから立ち上がる動作の時、台に両手を突いて、膝への負担を避ける感じの立ち上がり方をした。

八十一歳だそうです。

そのあたりの「見せ方」に、無理をしなくていい役なのだから、これでいいのかな~、と、なんとなく納得して、画面に見入っていました。

余分な動きもセリフも、一切無し。余計な説明なし。押さえておくべきことは、ちょっとしたセリフで、すべて察しがつくように作られている、これだけで、映画を観る醍醐味があるというもの。

健さんは、観衆を裏切らない、健さんらしい、真面目で朴訥で一途で、そして清廉な男として、画面の中にいる。

どうしても「欲しい」ものを、いたずらに諦める男でなく「惚れた」女を妻にした。

健さんが、甘えた声を出すんです。ここはネタバレになるかも・・・心を許した相手に語尾を伸ばした甘えた喋り方をする。いいなあ、と、思った。

で。

不思議に思いながらも「旅」が始まり、ビートたけしとの絡みが現れます。

このたけしが・・・。絶妙でした。胡散臭いやらハラが見えないやら、丸見えなのやら、厚かましくて可愛げがあって、憎みきれないろくでなし、の色付け。

健さんは、長い間、犯罪者の中で暮らしてきた、そんな仕事の人なのに、たけしの「嘘」なのかどうなのか、よく判らない部分の中のある部分(もしかして他の部分も)を、ふつうに、まるっと、言われたまま信じているのです。こあたりも、ウツクシイ、と感じてしまいました。

嘘みたいだが、嘘に見えないのです。

その健さん、でも、映画の中で一シーンだけ、おおむね伏せていがちな視線をぎっと上げて、強い、とても強い力の目で、相手を見据える場面がありました。

ふとしたことで酒席を共にするハメになった佐藤浩一(この人もい~い俳優さん)を、ある瞬間、キっと見る。健さんの中の、どこかの部分に引っかかるものがあったような。

そして自分の考えでは、この目は、後のことの伏線になっているのでした。

時間にして一秒くらい。これが、伏線になる。

あれこれ、いろんな関わりが生まれて。

三浦さんちの息子さん、として、ある意味、プレッシャーの厳しい育ち方をしたであろう、百恵さんの息子さんは、いい意味で本当によく育った青年と見えて、まるで世界が違うであろう役を、さわやかにこなしていて、うむむ・・・と、感じるものが(勝手に)ありました。

主役を張るタイプとは(ごめんね)お見受けできず、どちらへ向いて行かれるか、特に見守ることは無くても、頑張ってね~、と、そういう感じで見ておりました。

余貴美子という女優が、ずっと以前から好きなのです。顔も喋り方も甘ったるくなくて、いい。

かっこええ女優。この役も、すんばらしくよくて、嬉しかったです。多くを語るとここではイケナイので、これ以上、好き、だとは言えません。

大滝秀治さん。めっちゃ、よかったです。

何十年も、そのままの人で生きているみたい。

いろんな表情を、短い間に見せて下さいましたが、一番最後の、笑顔が、なんとも言えんです。これも、多くは言えません。

あ。草なぎ剛くん(くんって、いくつになったオトコをつかまえて・・・)も、好演でした。勢いをつけて、自分を信じて演じている繊細さがほの見えて、とてもよかった。私は彼を、すごくいい男で、芝居も頑張っていて、と思いつつ・・・あ、これ以上は申しません。沢山ファンがおいででしょうから、私一人くらい、いいよね。

・・・健さんは、ラストのシーン、すたすた、と、画面を横切って行くのです。

すたすた、と。

うまくだまされて、満足。

彼の旅は成功だったのですね。成功だったのです。きっと。

田中裕子さん・・・同名の、とても性格のいい女性を知っています・・・、。

下手すると、かまぼこおとと、とか言われそうな危ういところを、見事に渡りきって行く演技だったと思います。

ほんとに、その役を、生きている感じ。と同時に、実生活でも、こんな、このままの、ふんわり、可愛いのに母性を感じさせる女のひとなのかな、と思わせる、女優の魔性を持っている・・・。

静かに、抑えて、淡々と、進行して行くなか、文章で言えば、文字の列と列との間、行間。

何も書かれていないその行間を、読む、という言い方をするようですが、行間に込められ、行間で息づいているものの、大きさ・・違う、丁寧さ・・ううん、なんと言えばいいか、上等のものの持つ、香気・・・と言えば手垢がついてるね、とにかく、ご~~ん、と来るのでなく、波が、ひたひたと音も無く来て、胸のあたりまで来て、なんだか切ない、なんだかいとおしい、なんだか、ありがとう、な、映画でした。

ネタがばれて、鑑賞のお邪魔になったり、もし、したら、お許し下さい。



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  1. 2012.09.02 (日) 00:40
  2. URL
  3. sarah
  4. [ edit ]

こんばんは^^

「夏の海きれいだったなばしゃばしゃと夕日が海に溺れて行ったよ」

すばらしい~~~~v-300
なんという感性でしょう~~~~e-420

「あらゆる国のあらゆる人の

くるしい時に祈る神は

こうごうしい人の姿をもたぬか

愛と慈悲となさけと和らぎの

人の姿を愛せねばならぬ

異教びと トルコびと ユデア人も

慈悲と愛となさけのすむところ

そこに神おわします故」

ウィリアム・ブレイク『神の姿』
私の大好きな詩です^^

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プロフィール

KUONの久遠

Author:KUONの久遠
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四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

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