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  1. ことばのたのしみ
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吹きわたる風の中に

「嵐が丘」という作品を初めて知ったのは、中学生の頃でした。

小学生の時から大好きだった漫画家の水野英子さんが描いていた激しい漫画で知りました。水野英子は「星のたてごと」から読み始め、やがて私が「ヒッピー」風のでろでろファッションに目覚めていった時代(笑)、一世を風靡した「ファイアー」に夢中になり・・当時は「峰岸ひろみ」という漫画家も大好きだった・・漫画の話はキリがないのでここまで・・

とにかく、親と離れて養家から中学に通っていた私、夏休み、冬休みに実家に帰ってもやはり鍵っ子であるのは変わらず、寂しいというよりはそれは自分には好都合、お小遣いのほとんどを本を買うのにつぎ込んで、小さな部屋にこもって、ひとりうっとりの世界に溺れこんでいた、そんな時代に知ったのでした、「嵐が丘」。

すぐに原作も読みました。鬱々とした小説。狭い限られた世界の中で起こる、ひとかたまりの人間たちの愛や憎やの数十年のものがたり。

嵐が丘の作者のエミリー・ブロンテの姉、シャーロット・ブロンテの「ジェーン・エア」も、ほぼ同時に読んでいました。この二冊の本は、結局、何度も読み返すことになりました。私は、童話やメルヘンの嫌いな子どもでした。

映画は、ローレンス・オリヴィエがヒースクリフを演じた昔の映画も観ています。最近の(と言っていいのか、すでにかなり以前の映画化でしたね)、レイフ・ファインズがヒースクリフを演っているものは、ここ半年以内にも二度、観ている。ありがたい時代です、テレビの画面で。

私にとって「嵐が丘」は、ただにヒースクリフの物語なのです。キャサリン・・キャシーは重要ではない。存在としては重要なのですけれど、、彼女には気持ちが寄って行かないのです。

ヒースクリフといえば、松田優作が演じた、日本版のそれも、観たことがあります。タイトルは同じだったか。相手役の女優の名前も顔も思い出せない。(いま調べたら田中裕子です)。松田優作が強烈だったこと、画面の中でデカかったことが今も鮮明です。

愛した女、今でも愛している女の、墓をあばく男。荒涼たる風景の中で。演技とはいえ、その男の気持ちの、胸の、思いの痛さが、突き刺さってくるようでした。痛みながらしかし、思いを遂げて恍惚としているのでもある凄さ。忘れられないシーン。

残酷な話です、「嵐が丘」は。当時20代前半の若さだった作者・エミリーの、人間を描く目に容赦はない。

キャシー以外に関心のない男・ヒースクリフに、ヒースクリフの復讐の一つの手段、一つのコマとして恋を仕掛けられ、簡単に墜ちて、兄の制止も聞かず家を飛び出てしまった娘、イザベラ。兄の妻となったキャシーに恋い焦がれる男の妻となって、すぐに、殴られた跡の残る顔を、実家からの使いにさらして、ひきずられて使いの者の前から去るイザベラの不幸は、結婚のその瞬間から始まったのでした。

兄は止めた、わかっていたから。でも、イザベラの思いも行動も止まらなかった。

恋だと信じたから。若い世間知らずの身と心が、恋だと信じたから。

世間知らず。書いていておかしなこと、世間など知りようのない世界の話ではあります。

一年中、広大なヒースの原を吹きわたり続ける風の中に建つ、二軒の家。いわばA家とB家。その他に何も描かれていない。そこがどんな村であるのか他に人家はあるのか、食料などはどうしているのか、そういったことを、作家は何も描写していない。長い小説なのですが。イザベラの実家の方では、何かパーティのごときものが催されていたりする描写もあるのですが。

エミリーは、二軒の家に存在する人間たちのことしか、書いていません。キャシーやイザベラが世間知らずだなどと、言いようもない。世間の無い小説なのです。

キャシーへの思いしかないヒースクリフ。その思いは、熱くて強くてそして、重い。現実には温厚で優しい夫・・イザベラの兄の妻となっているキャシーの、実際の生活を大切に思ってひそかに見守って、などという現代人的な配慮もへったくれもない。夫の子を宿しているキャシーに対しても、お前が好きだ君が好きだお前は俺のものだ君だけが生きる糧だすべてだ、キャシー。どうして俺だけを見ないのだ、と。遠慮も何もない。

キャシーは。実に困ったりしながらも。キャシーも同じなのです、ヒースクリフのことが、本当は好きで。本心を聞かないで行ってしまったのはあなたじゃないの、私の本当はあなただけなのに、なんです。

キャシーの夫の善良なエドガー。エドガーの妹でヒースクリフにからめとられてしまった、不幸なイザベラ。何の罪科の無いこの兄妹に対する作家、エミリーの眼の冷たさといったら。同情心のかけらもない。と言えます。仕方がないのです、エミリーにとって大切なのは、自分自身の思い。それだけ。

地の果てのような、年中風の吹き荒れる荒野の中の牧師館で。姉と妹と父と兄と。母は早世、召使はいたのでしたか。毎日同じことの繰り返し。美味しいものにも縁がなく、楽しいことにも縁が無く。本を読んだりきょうだいで話をつくって披露しあったりが楽しみだった。。

町へ出て行った姉には、どうやら、恋愛らしきこともあったような。ただ一人の男兄弟である弟は、出来が悪かった。姉は小説を書いた、出版もできた、妹も、さして評判にはならなかったが本を出した。次女であるエミリーも、本を書いたのでした、それが、「嵐が丘」。ただ一冊の著書といっていい。エミリーも町へ出たり学校へ入ったりした時期はあっても、結局、荒野の牧師館へ戻っていた。

重い暗い厚い雲に覆われた牧師館。ヒースの原を吹きわたる激しい風の音。つまりそれだけが、エミリーの生きた世界でした。

病を得て、エミリーは、終日、お気に入りの椅子に座っていたといいます。

発散しようの無い思いを、エミリーは、ペンに託して、ぎゅうぎゅう詰めに書いた。誰がどう読もうが感じようが、そんなことはどうでもいい。書きたいことを、書きたいように書いた。ヒースクリフとキャシーの物語を。

死んで、二人は魂になって、ヒースの原をさまよい歩く・・それが、この異様な恋の終章。エミリーの描き出した「ハッピー・エンド」。

他の人間の運命や気持ちがどうあったって、関係ない。連れて来られて虐待されて、そんな中でも子を産んで。若く死んでいったイザベラのことなど、エミリーは、知ったことではなかった。最後まで自分の方を見てくれはしなかった妻の残した娘を、大切に育てたエドガーのことも。

ただ皮肉なことに、小説の終わりには・・映画の終わりにも・・そうして生み出された次世代の子供たちに、何やらほのかな、人らしい人生が、ほの見えているのですけれど。


今では記憶もさだかではありません。

初めて読んで引き付けられた、水野英子の漫画の「嵐が丘」。

かすかな記憶に間違いなければ、ラストでは、椅子に座ったまま憔悴しているエミリー・ブロンテが。

医師の診察も受け入れず、周囲の意見にも耳を貸さず。髪も乱れてやせこけた顔の中の両眼を,カッと見開いて。

「放っておいてちょうだい、私にかまわないで、何をしてくれなくていい、私はもうすぐ立ち上がるのよ、この椅子から立ち上がる、そして。

ヒースの原を吹き渡る風の中に立つのよ、ワザリング・ハイツ、私の風。あの風の中に立つのだから」

とか、独白が書かれていた気がします。そしてエミリーは、たかだか三十歳で死ぬのです。

中学生の私は、知らなかったその世界に、まこと全身で引き付けられました。

こんな風に。と感じたのかもしれません。

こんな風に、強く生きたい、こころ自由に生きたい、こんな風に生きられたら、と。





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  1. 2018.03.08 (木) 17:53
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  3. ひなぎく
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「嵐が丘」

KUONさん、こんにちは。
「嵐が丘」の紹介、ありがとうございます。
「ジェーン・エア」は何回も読みましたが、「嵐が丘」はなんだか暗くてあまり好きになれず、一回くらいしか読んでません。映画もローレンス・オリヴィエのを途中から観たことがあるような気がしますが、あらすじはしっかり忘れていました。
当時ローレンス・オリヴィエの恋人だったビビアン・リーがキャシー役のオーディションを受けたけど、落ちたというエピソードも思い出しました。
KUONさんの紹介文を読むと、なんだか「嵐が丘」読んでみたくなりました。きっと本棚のどこかに埋もれているか…、無ければ図書館で借りてこようかな。
  1. 2018.03.08 (木) 18:14
  2. URL
  3. ラピスラズリ
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内に秘めた狂おしいまでの情念

結末は大抵悲劇に終わるのですが命を燃やし尽くした経験をした後の人生はどんなものなのだろうとふと考えてしまいました
もう再び輝きを取り戻すことは出来ないのではないかと。

眞子さんのことが浮かびました。
マーガレット王女も特権の剥奪の前に結婚を断念したように、眞子さんもようやく結婚後の暮らしの厳しい現実の前に結婚を断念するかもしれません。
でもあの一途さ、純粋さ、頑固さを考えると例え先で別の人との結婚があっても、眞子さんが今の相手に対して持った情熱を二度と持つことはないのではないかと思いました。
眞子さんは誰も経験しないような逆風の中で生きていかなければなりません。
死んだ心を抱えたまま。
生きてきた世界があまりにも狭く恵まれ過ぎていただけに立ち直るのは容易ではないでしょう。
眞子さんの受けた傷はあまりにも深いと思います。

本当に娘の幸せを思うのなら両親の娘の判断を尊重するという姿勢は放任であり無責任すぎたと思います。
こんな未熟で甘い人たちが皇族というだけで一生涯あらゆる苦労から放免されて生きていけるなんて何だかなです。
  1. 2018.03.08 (木) 20:39
  2. URL
  3. KUON
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・ひなぎく さん

こんばんは。ジェーン・エアも何度も読み、映画も何作か観ています。リーアム・ニースンという俳優がけっこう好きなので、新しい方の映画もよかったです。

初めの「嵐が丘」のオリビエは、相手役のマール・オベロンとうまく合わなくて、恋人であるビビアン・リーに、あれこれグチグチ書き送ったそうで。(笑)。心配になったビビアンは、当時ですから大変な長旅をして、神経質な恋人のところへ行ってあげた。オリビエは、女王陛下から「サー」の称号を賜ったような偉大な俳優でしたが、相手役のワルクチを綿々とカノジョに書きつける男性でもあったのですね。面白い。

で、私がどこかで読んだのは、ヒロインの決まっていなかった「風と共に去りぬ」、そのヒロインに、リーが決まったのは、オリビエに関する何かのシーンを「見学して」いたリーの、顔が、赤く染まっていた。それが大火の中のスカーレットのイメージに結びついて、

「彼女だ!」となった、とか。そんなの読んだ記憶があります。ビビアン・リーは、本当に美しい女優さんでした。

「嵐が丘」という小説は、性善説も「いつか必ず夜は明ける」なんてコトバも信じられない、まったく関係ないような小説です。むっちゃくちゃにエゴで勝手で自分本位で救いの無いような男の、何とも言えない執念の昇華を、最後に感じられるような(でもないのでか・・)独特の魅力のある作品です。暗い、重い、でも。

よろしければ、読んでみられたら。安物の砂糖漬けみたいな昨今のドラマや、あまっちゃるくて見ていられない雲上人の茶番見てるより,ひとりの異国の昔の女性の、なんといいますかものすさまじい情熱の残渣が、今も熱い、それだけは言えると思います。

入り口はモタモタしていますが、物語が動き出すと、ぐうううっと、一生会いそうにない人間たちの物語に、引き込まれるような気がします。


・ラピスラズリさん

そうですねえ。燃え尽きる経験をした人が、そのまま。以後はしずまってしまうか、どっこいひとやすみの後には再び、がああっと行けるか。わからないことだと思いますね。人は一人ひとり違うものですから。

眞子さんとやらのことは、私はもう、あまり考えません。最低限、一人の若い娘さんとして考えるとすれば、何をどう言っても、細かい傷をつけるだけの気がします。

本気で心配しておられる方も多いでしょうが、何より、その心配を必要とされているとは思えない。届かない思い、民の側の片思いでしかない。

そんな片思いを、し続ける気は無いです今は。

一応どんな話も目に触れさせていますが、生命保険の受取人だの事実婚がばれると遺族年金がどうの、だの、Kさんとやらの家のそんなの話がエグ過ぎて、話になりません。

眞子さんがどう生きられるか。そんなのさっぱりわからない。ご立派なご両親もついておられるのですし、と今では思っています。


  1. 2018.03.08 (木) 21:18
  2. URL
  3. KUON
  4. [ edit ]

・ひなぎく さん

ゴメンナサイ、ロチェスタ氏役は、言いたかったのは、リーアム・ニースンでなく、ウィリアム・ハートでした。お詫びして訂正しますね。
  1. 2018.03.09 (金) 00:50
  2. URL
  3. ターコイズ・ウナ
  4. [ edit ]

豚色は肉色?鮭はピンク?あはは

おてしょのお師匠様こんばんは
いや
お早う御座いますかもです
(もう少しで午前一時でしゅ、25時です)

あはは



さて
お師匠様のページには交信当初から
色を着けておりました
おいらのページの「みそらひばり」を
ご覧になったことと思いますが
彼女ほどすみれ色の似合うお人はおりません



そう思っておりましたが・・・・



冬の夜明けで御座います
群青色の東方の空が『明かり』のお陰で
やがて薄紫へと変わって参ります
(すみれ色はお国の色で朱、あはは)
おいらを『色』としますと
薄ら呆けの霞んだ青・・・・・
のろけでではありますが
家人を『色』としますと
グレーでしょうか
ペンキ屋の友人が言いましたが
余ったペンキを全て混ぜますと
調合に拘らずに『グレー』になるそうです

オレンジに近い情熱の赤



誰?



ロマンスと付く色目は
外国に住まうあの方



誰?



抜けるような青空に一筋の『白』
飛行機雲・・・・



誰?



ひと様のブログで失礼を致しました
おてしょのお師匠様を改め
アメジストのお師匠様は如何でしょうか?


あはは







  1. 2018.03.09 (金) 18:14
  2. URL
  3. KUON
  4. [ edit ]

ターコイズ・ウナさん

こんばんは。いま午後六時過ぎですが、もう晩御飯を済ませてしまいました。この頃はそんな感じです。

コメント読ませていただいて、そういえば大っきなアメジストの指輪、持ってたわ~と思い出しました。誕生石でもなんでも無いのに、買ってもらって、アクセサリーは全くつかわない人生になっていましたので、どこやらに入れて・・・どこ?。

どこにあるんでしょ。無くても困らないけど、思い出したのですこし、どこ ?の思いが。怒っていますかね、あの指輪。ごめんね。

のんきでいいかげんなものですね、私が好きな色は、赤と黒と濃い青色です。

ふつーに「KUONさん」と呼んでいただけたら、と思います。
            かしこ。

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KUONの久遠

Author:KUONの久遠
     ・・・・・・・・・・・・・・

四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

    ・・・・・・・・・・

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