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ほととぎす   辞世二首

名古屋のいとこから珍しく電話がかって、瞬時に切り替わった名古屋弁を駆使して話していたら、味噌カツが食べたくなりました。

味噌煮込みうどんも。駅前ビルのあの店の、めっちゃくちゃ美味しいでっかい海老ふりゃあも。

現実には、いま目の前に並べられても、せいぜい、きしめんにしか手が延びないかもしれませんが。

昔の食欲、いまいずこ。名古屋恋しやホーヤレホ。で(強引な「で」ですね)、どれだけか前の、この記事を再掲させてもらいます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


柴田勝家は、織田信長に見いだされ、忠義の人だった、と云われます。

本能寺の変の後に秀吉との対立が深まり、賤ヶ岳のたたかいで敗れて、越前北の庄にたてこもった。

覚悟を決めて、妻に、城から逃れるように説得しました。

勝家の妻は、信長の妹、市。

戦国一の美女と呼ばれた女性です。

お市の方は、けれど、逃げないと言う。

お市の方にとって柴田勝家は、最後の夫。

戦国の女の常として、それまでの彼女は、夫を殺され、娘たちのために城を後にし、言われるままに再婚し。

一人息子は串刺しにされて殺されました。さんざんな目に遭っていました。

勝家は、市に優しい夫で、大切にしてくれました。娘たちは成長して、もう、母親である自分を、どうしても必要とするということでもない。

かつてのように、城を後に落ちたとして、命は助かるとしても、そこにいるのは、あの、さるというより兄はハゲネズミと呼んだ、秀吉。

秀吉が、何をどうしても自分を欲しがっていることは、とうに判り切っていたこと。

今度こそあの男は、自分に向かって来るに違いない。

初めの夫をあやめ、息子を処刑し、兄の跡をそっくり抱え込んで、今では、権勢の限りを・・・

あの、ハゲネズミ。指いっぽん、触れるどころか、半径10メートルにも近寄らせてやらんわ。

交換条件いっぱいつけて、来るんだろう、あのげせんは。


いやなこった。

こうなってまったら、言うこと聞いたらんなんことも無いわな。たあけらしなってまってどんならんわ。

そんなとろくしゃあこと、なんで私がしないかんの。

たあけらしいわ、のれんわ、そんなこと、あいつの顔なんかもう、見るのもケガラワシイでかんわ。

正直わたしも疲れてまった、いろんなこと、いっぴゃあ、あったんだも。

娘んたらあは、なんとか、やってくだろ。

私だってもう、自分のためにものごと決めたって、ええはずだないかね。

やりてゃあように、やらしてもらってええわね、まあ、そゆことだと思うんだわ、許してもりゃあてゃあ、おとっさんもおっかさんも、兄さまだって、そう、思やあすはずだも。

まあいっぺん、出てって、なんか、やり直す、むりむり、疲れてまった、無理です、それと、まっと他になんでかしゃん、言うなら、よう。

この夫と一緒に、行くんだったら、落ち着いて逝ける気が、する・・私が、苦しまんでもええように、うみゃあこと、してくだしゃあす気が、する、それが、いちばんええことみてゃあに、思えるもんで、こうせなもう、しょうがにゃあんだわ、な。

・・・なんでここへ来て、名古屋弁しゃべっとるか、わからんだども。

この人は、ええダンナさんでいてくれやあた。

一緒に行かいてくだしゃあ、て、さっき、言ってまった、そんだら、そおか、と、にこおっと笑って、言ってくれやあたで。

やっさしい目で、言ってくれやあた、もう私、気がすんだだわ。

気持ちが、すううっと楽んなって。

もう、生きとりてゃあ欲もにゃあ。

男の人んたらあは、国が欲しい名が欲しい、欲しい欲しいでジタバタ、生きとりゃあす。

女が欲しいモンは、そんなもんと違うんだわ。

まあ、いちぎゃあに女、言っても、いろんな人がおらすけど・・

私は、このヒトのとこへ来て、ほっこら、包まれたみてゃあで、初めて、ゆっとりと、ダンナさまのそばにおった気がする、そんでよかったんだ、私も、もう、わきゃあことは無かったんだも、ゆっくり、ジタバタせんでええ、そゆのがよかった、続かんかったけど、それはまあ、ええね。

ここで、この人と、死んでくんだ。

それが、わたしの、最後の道だ、思うんだ、

一本の、まっすぐな、きれえな道だと、思うんですわ・・・


とか、お市の方が、考えられたかどうか。

あくまで即興、ジャズみたいなもんです(かっこ良すぎるか・恥)


今日こそ城は落ちる。落城。というその日。

気持ちを定めて、しずかなこころで夫婦は、天守閣から外の様子を、眺めたようです。

ほととぎすの季節だったのですね。

ホトトギスは、ひとくみの夫婦の終焉の直前の静寂の中で。どんな声で、鳴いたか。



   さらぬだにうちぬるほども夏の夜の

   わかれをさそふほととぎすかな

                    お市の方 辞世


勝家の思いは、どうだったでしょう。

主家筋の美しい女を、思いがけなく妻として。

その妻は、意外にも、自分に寄り添って、やわらかい妻でいてくれた。

しあわせ、というものだったのだろう、この女と過ごした月日は。

そして今。最後の時を、共に迎えるという。

わが名をそそぐのは、後の世の、こころある誰か。そんな者が、いるとすれば。

市は、のがれぬと言う。

そう聞けば、この女の命が惜しい。

もっと生かしておいてやりたい。

そんな気持ちはある。あるけれど、

・・・もう何も望むことは無い。

これでいい。充分である。

(とか、勝家氏が思ったかどうかはわかりません、そうじゃないかな、そうだったらよかったなあ、の、くおんちっくな妄想で。

妄想です。)



   夏の夜の夢路はかなき跡の名を

   雲居にあげよ山ほととぎす


                    柴田勝家 辞世




いっときの後。

柴田勝家は城に火を放ちました。

お市さまの胸をつきました。

ご自身は武士らしく腹を召された・・・十文字に腹を切っての自害だった。

と、いわれています。


 

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  1. 2017.08.09 (水) 21:14
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  1. 2017.08.10 (木) 12:54
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  3. さと子
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名古屋弁の解釈が、心地良く響いて参りました。
お市の方のお気持ちは、たぶんそうであったのだろうと思います。 

人生の終焉の時、欲はこの世に全て置いて行きたいです。
かのお方の様に、老醜を晒したくありません。

  1. 2017.08.10 (木) 21:06
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  3. KUON
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・ヒミツの〇さん


お優しいお言葉ありがとうございます。乾いた体に降り注ぐ激しくないスコールみたいに、ココロにしみいりました。(ちょっとカッコつけ(笑)。でも本当です。

ありがとうございます。

あまり触れてはいけないとは知っていますが。

告訴されたのなら、代理人も立っているのなら、自分の方も弁護士とか依頼してタタカウか、そうでないなら(タタカワないなら)すべて認めて「負ける」しか無いのですが。なんで今もああまで狂乱、と思います。が。人のこころとは複雑怪奇なもので。どこにどんな穴がぽっかり、開いているかわかりません。人のカナシミは、他人にはわからない。どちら向いても。

おかげさまで私はまったく元気で、アタマからシャワー浴びてコロン使って、口紅塗ってお着替えもして、今日はお盆用のオカネを引き出して、なんやかや買い物して来ました。そして帰宅して大きいタオル敷いて昼寝して、少し本を読んで晩ご飯作って。非常にまともな人のような生活をしています。

明日から会社も休みです。お墓詣りしてモーニング行って、姑のとこへ行って。一緒にお寿司、食べに行くとこまでは、決まっていますが。のんびりも、したいと思います。


・さと子さん

勝手に書いてしまった「お市の方」のお気持ち、そうだろうと思うとお認め下さり、ありがとうございます。

和歌が好きなので、王朝の女性たちに魅かれていますが、話として読むだけでも、潔い武家の女性たちにも魅かれてしまいます。たとえ負け惜しみでも、ぐにゃぐにゃしたくないのが望みです。

細川ガラシャ夫人のうたも、へたれKUONの愛唱歌の一つとさせてもらっています。

「花は花なれ 人は人なれ」

いま、花はやはり花、のように思います。でも。

人は、人、でしょうか。残念な気持ちもあります。

>人生の終焉の時、欲はこの世に全て置いて行きたいです。
>かのお方の様に、老醜を晒したくありません。

同感です。同感と云わせていただきます。

  1. 2017.08.11 (金) 08:18
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  1. 2017.08.13 (日) 11:29
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  3. KUON
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・ヒミツの〇さん

教えて下さり、ありがとうございます。

私も読みました、最新のまで。トド子さんのところで。

ここでは、ヒミツで頂いていますので、このままにさせてもらいますね。真否への疑問も明らかにはしたくないです。

どうやら法的なことを始めておられるようですし、イヤな思いは自分なりにさせられましたが、写真やプライバシーを毀損されてもいない、当事者には当たらないわたしが、今、何を言うべきことは無いのではないかと思っています。お邪魔になってはいけないと。

ただ。伏見さんとやらと他のどなたかが実際にどんな立場や状況であろうと私は、自分たちのしたこと(周りを巻きこんだことを含め)のあまりの悪辣さを思えば、このまま済まないのは当然と考えています。そこはしっかり認めないと。あの人たちは。

第三者として思うことはそのことのみです。厳しくやって欲しいです。後に尾を引くことの無いように。

思うのはそこのみで、伏見とやらの過去や現在、からだの状況、生活の困窮とか。私は触れたくない。裁判に、もしこのまま移行すれば、どっちみち明らかになってしまうのでしょうが。個人的に「裁く」ことに加担したくないです。そういう立場でも無い。裁判にもなるようなことを仕出かしたのは、本人なのだから。何が明らかになっても仕方がないですね。

やり過ぎました。

わたしが望むのは、やったことの後始末と、それを形で示されることだけです。逃げられません。

いささか強い表現になったかもしれませんが、まだ抑えて書いたと、自分では思っています。

どうも有難うございました、本当に。ありがとう。


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プロフィール

KUONの久遠

Author:KUONの久遠
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四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

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