KUONのブログへようこそ。

ブログタイトル変えました。中身は変わらずKUONです。

できれば、ほとんど同じときに。



今日は黄砂がどっさり降るらしい、イヤだわと思いつつ、洗濯ものを干していた。

干し物をする時には、犬を外に出して自由にさせておく。門まで階段を下りて道路に出るのだが、その階段下の門扉をきっちり閉じておけば、家の周囲を犬が走り回ってもまったく安全、両隣とはどちらも段差があって行き来できないし、裏は公園、この公園とも段差がある。庭にも裏にもほとんど樹などを植えないで、囲いだけを緑にして、犬が好きなように走り回れるようにしてある。四月に三歳になる男の子。

幼い頃に後ろ右足の大きな手術を受けて、厳しいリハビリも頑張って続けたのだが、うまく筋肉がつかないままだった。足をついて四本の脚でトコトコ歩けはする、けれど、後ろ右足はやはり細いし、微妙に浮いていることも多いし、何より、スピード出して走ると、右側に傾いてスターンと勢いついて転びやすい。

転んで、不思議そうに起き上がってまた歩くのだが、激しい転び方をするのを見ると、胸が痛む。

生まれつきの病気があったそうだ。この犬がたまたまわが家へ来て、手術も受けさせてやれてよかったと、これも何度も思う。

なるべく運動をさせてやりたくて、冬でも、干せる限りは外に干し物をする。私が洗濯かごを持つと、出られると察して喜んで吼えはじめる。リビングにいるのを迎えに行くと、大ジャンプして、はよ、はよ、と鼻息荒く急き立てる。

まっすぐな真っ黒な、きれいな目で、見上げてくれる。

私の中に鬼も蛇もいることを、この犬は知らない。

ひたすらに、ひたむきな目で、見上げてくれる。

一緒に玄関を出て、私はものを干し、犬は走ったりそのへんの匂いを嗅いで用を済ませたり、お座りをして耳のあたりを掻いたりする。右の脚では、よその犬のようにリズムよく、タッタと掻けない。ひょろひょろとした動きで、タラタラと掻いている。家族はだから、犬を抱く時は、無意識に、右耳のあたりを掻いてやっている。犬の一番の愛情かけ人、娘婿が、主にその役をつとめている。二人でたっぷりとくつろぎながら、ソファの決まった席で、耳を掻いたり掻かれたりしているのは、いい光景。


今朝も、道路を見下ろせるフェンスに体当たりせんばかりの勢いで、犬が鳴いていた。

下の道路を、Kさんのおばあちゃんと、いつも一緒のトイプードルのプーちゃんが歩いているのだ。

プーちゃんに向かってわが家の犬は吼えている。生まれたのも、ここに住み始めたのも、プーちゃんとおばあちゃんの方が、10年もっと以上も先輩なのに、見つけるとエラそうに鳴く。

人間に大事にされ、早くに去勢の手術もされてしまったうちの犬は、犬付き合いというものに疎いままなのだろう。

あまり吼えるので申し訳なくて、階段の上の高いところから見ると、Kさんのおばあちゃんが、にっこりして下さる。

90歳過ぎているんですよワタシと、何度も聞かせてもらったが、肌の艶もよく皺も無く、上品なきれいなお年寄りだ。道で会うと、にこっとしながら寄って来られて、あれこれと話をして下さる。

結婚5年でご夫君と死別されたこと。今の家は娘と娘婿と入った、娘婿は単身赴任でいつもはいない、娘も仕事をしているので昼間は一人だから、どうぞ、お茶でも飲みに来てください。

何度もお誘いを下さったが、一度も伺っていない。

今のこの家も、その前に借りて三年余り住んだ家でも、私は、ご近所にあがったことが無い。その前の、競売で失った家に住んでいた頃にも、よほど親しい友人以外は、人と呼び合ってお茶を共にするような付き合いをして来なかった。

仕事もしていたし、それを除いても、そういう人付き合いが自分に合うというだけ。それまでの数十年に、人の出入りのある暮らしにこりごりした、ということかもしれない。私が私でなかったと、振り返って思う。「私」なんとか、そんなこと言えるものだったか。それなりに夢中だったけど。

すべて失くして去る人はみごとに去って、もがいて何とか水面に浮かび上がることができて、

やっと来てくれた、

静かな暮らし。

上品でイヤミの無いKさんのおばあちゃんと、きっと美味しく淹れて下さるであろうお茶をいただくのも、いいかも知れないのだが、一度あがらせてもらえば、次のお断りができにくくなるのは判る。申し訳ないが、にまっと笑って、それで・・・。でも、大好きなお年寄りだ。

おばあちゃんとプーちゃんは、毎日ふたりで、膨大な量を歩いているようだ。

散歩などというものではない。朝も昼も夕がたも、ふたりは外にいる。どこででも見かけられる。

プーちゃんはもう、随分なお年寄り犬だ。毛並みはぱさぱさになっている、脚もがにまたになっている。可愛い小さな女の子らしい顔、いつも涙目のプーちゃんで、みればその涙目が愛おしい。季節に応じた服を着せてもらい、黙っておばあちゃんと歩いている。もしくは、疲れやすくなってね、と庇われながら、抱っこされて移動している。15歳はとうに越えているらしい。おばあちゃんにヒイキを受けている娘婿に言わせれば、20歳近いんちゃうか、だ。

プーちゃんは喋らない。いつも黙って、おばあちゃんと歩いている、抱っこされている。プーちゃんと言うのは、トイプードルだからさっぱりと「プーちゃん」なのでなく、プリンちゃん、が正式名だと、最近になって知った。

プリンちゃん。わが家の犬の名は、ちなみに、「銀蔵」という。同じトイプ―である。

もう、風の強いのが来れば、飛ばされそうなおばあちゃんとプーちゃんに見える。

離れている姿を、誰も見たことが無い。

もしもの日が、いずれ来るのではあるが。

どちらが先なのが、二人にとって、幸せなのだろうかと、ふと、考える。

おばあちゃんは、プーちゃんを、残し難いだろう。とは言っても。

プーちゃんがいなくなったらおばあちゃんは、何も出来なくなってしまうと思われる。

私などが考えることではない。わかっている。

考えていたら、淋しくなって来た。

できれば、ほとんど同じ時に、一緒みたいに。そんなことを、ぼんやりと、考えていたりした、もわんとあったかい、春の朝。

東大寺、二月堂のお水取りが済まないと、奈良にはホントの春は来ないと言われている。

四季のある国で、いいなあ。







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コメント

素敵

今日は、KUONさん、

前にも書こうと思ったのだけれど、書きそびれてしまった、だから忘れない内に書いておきたい。
今日のようなさりげない日常、そして風景の描写、素敵な文章に載せて何か心にしみますね、犬の話も亡くなった愛犬の事を思い出しました。

こんな素敵な文章が書ける、KUONさん、大好き!!

せきにん

こんばんは

トイプードルって
ふわふわしてるから肉付きよく見えますが
シャンプーしたらビックリするほど
華奢ですよね。

実家では猫も犬も飼ってました
今実家は 珍しい
チベタンスパニエルってチベット系の犬で
でも、ペットはみんな
購入はしたことなく
訳ありのもらわれっ子です。


うちに今居るのは
17歳半の老描ジャック 
もうお爺ちゃん

3年前にキジトラのリサちゃんが
17歳で死んじゃって
私も、ジャックも寂しいから
縁があったら猫貰おうと思ってましたが

これからの15年はてさて
その子を責任もって最後まで見てやれるか
と思うと貰えませんでした。

たかが猫、されど猫
あんまりチューチュー
かまってやりませんが
私にとっては一人暮らし初めて
仕事も独立してから
悲しい時も寂しい時も
ずっと側に居てくれた子供たちです。

泣いてたら横に来て
ペロペロ舐めてくれます(笑)

2匹とも長生きしてくれて有り難う
よれよれの老描ジャック
プーちゃんも、銀蔵も
みんな可愛い子供たち
もうちょい頑張ってくれ給え〜!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

No title

・わがまま親父さん。

お返事どう書いたらいいか、嬉しさをひっそりとキープしておきたい気分がありましたね。

自分もこういう記事、素直に紡げるようで、好きです。

誉められて伸びる、じゃなくて、誉められるとつけあがるKUON、かも知れないのですが。(笑)。ホントに嬉しかったです。

私も、ブラッキー嬢の親父さんの記事、写真、いろいろ覚えています。あの絵も。

また誉めて下さいね、よろしく、と、厚かましく、正直に(笑)。。




・ワッ・タ・シ熟女Nさん。

黒猫ジャックさん、17歳半ですか。

写真でしかしりませんが、お若く見えますね(笑)。昔、黒い猫に「ミルク」と名付けて飼っていました。最後まで一緒にいられないで、人に託してしまいましたが。時々泊まりに行っていた家で、ゆったりといてくれたと、思うようにしています。

長く暮らした猫はとても母性的な猫で、卓に伏して泣いていると、お座りして黙って見ていて、それから寄って来て、その猫も涙をなめてくれました。舌のざらざらが、年と共になまくらな感じになって行ったのを覚えています。優しいきれいな猫でした。お腹に顔を埋めていると、安心しました。柔らかいお腹でした。もうすぐ消えるからね、と、覚悟をうながすような素振りの果てに、はたっと倒れて、安らかな最後を迎えてくれました。

>よれよれの老描ジャック
>プーちゃんも、銀蔵も
>みんな可愛い子供たち
>もうちょい頑張ってくれ給え〜!

そう、今からは飼えないね。置いて行けないし。

一緒に暮らした生き物たちの記憶は、褪せて行かないです。一度だけ飼ったハムスターも、引っ越しが決まる頃、ひっそりと死んで行ったのです。2年5か月、ハムちゃんとしては長生きで、私のお腹の上で大の字(しっぽはあったが)になって爆睡してくれた、可愛い、げっ歯類でした。

温さ柔らかさ心臓の音、思い出すとなぜか、ごめんね、とか。いじめたつもりは無いのですが。死ぬことだってよく判らないで逝ったのだな、と、思ってしまうのです。ごめんね、ありがとう、という感じ。

おばあちゃんとプーちゃんは、今日は雨なので、お家で過ごしているのでしょう。




No title

・ヒミツの〇さん。

了解しました。

すべて了解です。ありがとう。

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やはり赤い口紅が好き。


ものすごく唐突ですが、私、口紅(だけ)はシャネルよ。(笑)。

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