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母なき子らの




密かにリクエストをいただき、自身、 関心もありましたので、皇后美智子さまのうたの中から、愛児を詠んだ幾首かをひろってみました。

愛児とは、長男の浩宮さん、後の皇太子さんのことです。

あの方に、他にお子はあれども「愛児」と呼べるのは、ナルたんだけでそ。

イヤミはこれくらいにして、皇太子のうた、探してみます。

以前紹介した、お産みになった直後の、絶賛された「あづかれる宝にも似て」は割愛、ここで私感を述べます。

・あずかれる宝にも似てあるときは吾子(わこ)ながらかひな畏れつつ抱(いだ)く

当時のうたの師、五島美代子氏の優れておられたことをひしひしと思わせる一首です。

「わこながらかひな」と、八音。一音の字余り。そこから「おそれつつ」と繋がってゆくあたりが、入内後にうたを始めたお方のものとは考え難く。お上手なのです、ものすごく。

別に、そんな尖らなくても、先生がいささか手を入れて、あるいは入内直後(もちろん今に至るまで)のまさこさんのうたのように、ほとんどが・・・ってことも、解っていて口をつぐんで成り立っている「世間」もあるのに、と、己を嗤う思いもあるのですが、今の気持ちで美智子さんを思うと、本当のところを突っ込まないでいられません。

KUONも阿呆な、アサハカな人間と、つくづく、思いつつ。思いつつ、やる。(笑)。

うたを詠むには、詠みたい、訴えたい思いと、ほんの最小限の技術。きまりごと、さえ、あればいい。

人の胸に入って来るうたと、技術的に巧みなうたとは、違う。

そう、考えるものですが、おそらく自分自身に対する感受性には鋭いものもあった美智子さんを、大ウチワで煽いで(あおいで)、

「歌人としても素晴らしい美智子さま」と、当時、持ち上げた、世の中の「風」のようなものが、あった。ということであり、あまり本当には賢くない、自分を大好きな文学少女くずれのヒデンカが、そこに、気持ちよく乗った。

そういうことではなかったか、と、推察します。

それまでではない妃殿下像。それまでの日本の皇室ではない皇室を、つくってゆくために、美智子さんは入られた。

ふと想う、ハープの先生はどうお思いだったか。豪華なハープの傍らでドレスアップしてポージングしていた、あの美智子さんの、盛り上げたアタマの中には、どんな思いが詰まっていたか。あのハープはいずこへ。

すべて、見えてくる。

おそろしいことに。実感しています。


・・・・・・・・・・・「皇后美智子さま 全御歌」より


・若菜つみし香にそむわが手さし伸べぬ空にあぎとひ吾子はすこやか

 ・わかなつみし かにそむわがて さしのべぬ そらにあぎとひ わこはすこやか

                             昭和36年


KUONはこのうたの「わこはすこやか」に、後のまさこさんの、愛子さんについての「ウチの子は元気で嬉しい、だって世間には」という後の発言の中の「・・・そうでない子も」という、皇室の人として「ダメ」な匂いを感じます。まさこさんの有頂天な顔を見た後で、そう、感じたと言うのが正確です。

おのが子の健やかなことは、どの母にとっても自然な願望。強固な願い。考え過ぎなのでしょう。ただ思う。

自分の子にのみ、かまけ、捉えられないために、高貴なる方々は、煩悩と同じ意味を持つことの多い「子への愛」に、縛りをかけられたのではないか、と。手元から離し、専門の養育係の手に、特別の家の子、公としての子、として生い立たせるために。

感想はあくまで、KUONの実感に尽きます。



・長き夜の学び進むは楽しとぞ宣りし子の言葉抱きて眠る

 ながきよの まなびすすむは たのしとぞ のりしこのことば いだきてねむる

                              昭和55年


秋の夜長に、夜が長いから勉強が進むと、子は言う。嬉しさに、その言葉を胸に抱いて眠る、といううた。

このお子さんが、学びには難しい面をお持ちとは、当然わかっておられての一首でしょうか。

それでも真面目に学ぶ子が愛しくあられたか、吾子はこんなにも真摯な若者ですよ、と(外に向けて)詠んでおかれたかったのか。ナルさま二十歳。「宣る」の言葉は、息子にでなく、いずれの東宮殿下への敬意をこめて選ばれています。

お勉強はどうでも、浩宮は、どうでも天皇になる息子である、と。揺るがない母の気持ち。確かに、そうではある。

勉強が得意でない、だけならば。それだけなら。問題は無かった。皇后に、不向きな子ならば公人として判断をする。という、まともさがあれば。今のようにはなっていなかった



・この月は吾子の生れ月夜もすがら聞きし木枯の音を忘れず

 ・このつきは わこのあれづき よもすがら ききしこがらしの おとをわすれず 

                            昭和57年 


またこうして、追憶の中におられる美智子さん。

夜をこめて吹きすさぶ木枯しの音の中に、不安や希望や・・・しかし凩を聞きながら希望はうたわないか・・・何がそんなに、不安だったのでしょう。初産への恐れは、ままあること。でも、会うさえ難しいと報じられたのは偽りであって、実家のお母さまの励ましもたっぷり、医師団も最高のチームが完璧に用意されていて。

たとえば防空壕の中で、いつ爆撃されるかの恐怖の中で、人のひしめく暗闇の中で、苦しむ妊婦から無事に子をとりあげ、自身は命を使い果たした助産婦さんを、うたった「生ましめんかな」の詩など、好んでお読みになるような方の気がします、美智子さん。そういうの大好きなような。

ご結婚たちまちにして、妃のつとめの何より優先事項。大事のお子を、みごもっておられるの御身。

何をそこまで、思いつめておられたのでしょう。



・外国に吾子離れ住むこの年の夜のしづけさ長く思はむ

 とつくにに わこはなれすむ このとしの よるのしづけさ ながくおもはむ

                         昭和58年。


浩宮、英国へ留学中。オックスフォード大学。弟君の礼宮親王殿下は、「兄は留学などしないで早く結婚なさって何人かお子をあげられたらいいのに」の趣旨の発言をしておられたそうで。お若いのに、よくわかっておられた。

まこと、その通りだったような。イギリスでは、いとこの長女さん(Tちゃん)のようなやばくてイケナイこといっぱい、は、されなかった(ようせんかった)けれど、パブで酒呑むことは覚えた。庶民的な日本のプリンス、と、持ち上げられていた。

お母さまのこうごうさまは、

「浩宮はわたくしのお酒の先生です」

と笑顔で語る、陶酔ママ。

この翌年、3月、ママは留学中の息子さんの様子を知りたくて渡英されていますが、年表には「視察」となっています。こういうの、公人の特権ですよね。(笑)。

この構図は他にも多く撮られていますが、突っ立って無表情のナルさまに、おもねるごとき美智子さまは、下からご尊顔を見上げる風に、愛しい息子の表情の自分に向かうことを、切望しておられるのです。

びっくりするような「こっち見て顔」でいらっしゃいます。

最後の7文字「長く思はむ」になっています。

長く思おう、あるいは、長く思うだろう、と。

今はこんなに淋しいが、これはいっときのこと、

あの子が帰ってくればまた、ワタシの傍にいてくれる、母子の蜜月の時も戻るはず、と。

たとえ住む家は違ってしまっても、ママのところへ日参してくれる息子さん。で、ありましたか。


・吾子遠く置き来し旅の母の日に母なき子らの歌ひくれし歌

 ・わことほく おきこしたびの ははのひに ははなきこらの うたひくれしうた

                    昭和37年「熊本県慈愛園子供ホーム


この時、ナルさんは二歳。あの子はどうしているかと、思うだけで胸の締め付けられる愛し子。

訪問先で、お母さんの無い子たちが、妃殿下のために、いっしょうけんめい練習した歌を、歌ってくれた。

母の無き子とはいえ、生まれた時にはその子の母は、いたのです。

どんな事情でか、子を手離した母がいて、母から離された子がいる。

よそ見していれば先生は注意したでしょう。ふざけたりしても、気持ちをわかってくれる前に「ダメよ」と制したかも。

きれいな優しそうな、みちこさまという方は、いっしょうけんめい歌を聴いて下さって、拍手もしてくれて、みんなの顔をぐるりと見て下さって、先生方に、どうぞよろしく、みたいに言って、手を振って笑いながら、待っていた大きな車に乗って、帰って行った。

お家には、美智子さまという人の、子どもが、待っているんだって。美智子さんは、きっと、その子がいちばん、好きだよね。

ぎゅうう、して、ちゅっとして、いつまでも、アタマを撫でてあげるんだよね。

そういう、えらい優しいひとたちが、来て、お菓子など下さって帰る。

そういう日が、後が、母のいない子どもたちには、いちばん、淋しい。

って、美智子さんという人は、知っているのかしら。

言っても仕方がない。

仕方がなくは、あるのですが。

ご慈愛に満ちたおうたのようであって、自分の感情を中心に据えたうただと思います。

母なき子ら、は、歌材。とまで、読んでしまう自分に、疲れます。(笑)。



まだまだありますが、今夜はここまでとさせていただきます。

・・・・・幼い頃の紀宮さまをうたったうたも、幾らかはあります。

アーヤさまは「おやんちゃ」で、おたたさまには詠み辛いお子さまだったのかな。うにゃああ、と抱きしめてポーズとったら、もがいて逃げて行きそうな。

礼宮さまのうたが、無い。




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コメント

笑っていいのかな。

KUONさま今晩は。

今回も、大変面白い記事、ありがとうございます。

・長き夜の学び進むは楽しとぞ宣りし子の言葉抱きて眠る

あの。あのナルちゃんが言っておられるのですよね?楽しって。
うわあナルちゃんに訊きたいわ~~。
「何のお勉強が進まれましたの?」って。
昭和58年のお歌ということは、もう成人してらっしゃるわけで。
でも、大人に使う言葉でしょうか、私は素人でわかりませんけど、「学び進むは楽し」なんて。掛け算九九とかならわかるんですけど。

「お母様!勉強進んだよ!すごいよ僕!」みたいな勢いですよね、「宣りし」っていうのも。

で、その言葉を抱いて眠る?
私もKUONさまみたいに小さい声で言わせて下さい。
ここ、笑うところだよね?ミチコさま?

すごいですね、和歌って。

間違えました

・長き夜の学び進むは楽しとぞ宣りし子の言葉抱きて眠る

このお歌は昭和55年、ナルたん二十歳でございました。
失礼しました。

二十歳にしても、ないわ~~~~。

礼宮さまのお歌がないのも、判りやすくていっそ清々しいと思いましたが、
どれだけ礼宮さまはお寂しかっただろうと思うと、言葉がありません。


おはようございます。

KUNON様が解説して下さった、美智子さんの歌。
ずっと拝見しましたが、美智子さんにとって歌は自分を飾るアイテムでしかないのですね。
浩宮を詠んだ歌、母性とか通り越して「気持ち悪い」です。
あーやの歌がない・・・
絶句です。
私も二人、息子がいますがそんな差別をした事、有りませんし理解できません。
いくら、特別な御家でも・・・

・laviniaさん。

え。(笑)。どこでお笑いになられても。(笑)。

言うてないのに聞いている。そゆこと、あるでしょう?
聞きたい言葉は聞けてしまう。時にそれを「妄想」「とよぶ、「幻聴」とまでは、行かないか。脳内変換はありますね。

短歌の世界に「少年もの」とひそかに言われるヂャンルがあって。

少年期の一時期、男の子って「きれい」な時があるでしょ? ディカプリオの「太陽と月に背いて」みた時に、後ろ姿の彼のふくらはぎを見ながら、いちばん美しい時期を、こうして俳優は残せるのね~、と、しみじみしました。

話が脱線しているか。してません。(笑)。美智子さんにとって、長男・ラブは、巨大だったってこと・・今度のうたの記事に書く予定です。


・まりりん さん。

アイテム。そうなのかも知れません。とても納得のゆくご意見です。すべてが、あの方には、自分を飾るお花の小皿。ぐえ。オカルトや。

>浩宮を詠んだ歌、母性とか通り越して
>「気持ち悪い」です。

そうなんです。ほんとに、写真でも、無表情な顔を覗き込むように、機嫌とるように。

あーや様は、おかあさんのそんな姿を見て、批判も公にできなかったが、内部にお育てになられたものがおありなのですね。

賢いお子には、孤独も糧になるのですね。

お歌

和歌を取り上げ、解説して下さり有難うございます。

どのような折、詠まれたか・・
背景なども考えると、深いものがあるのですね。
皇太子さまを読まれたお歌には、母と子の近い距離感を 私は感じました。

大正天皇両陛下、昭和天皇両陛下は、当時のお子様方を どの様に歌われたのでしょう。
戦時中も、歌会始めはあったのでしょうか。
ふと、思いました。

・結花さん。

そうですね。

どなたかの詠まれたうたを、どんな風に読むかは、おひとりおひとり違うものと思います。感想は自由に持つものですよね。はじめから貶めようとの意図では、読みたくないと心しておりますが。

大正の両陛下、昭和の両陛下の御製、御歌に触れてゆくと、膨大に書くことになり、私はつまりは、現・東宮夫婦がこのまま即位へ向かうことが納得できず、その気持ちから、うたにまで、専門家でもないのに、手を出してしまった(笑)わけでして。

昭和天皇は、昭和17年、戦争が始まって後の歌会始の儀にも、御製を出しておられます。その後にも・・。

ここに書きたい気はあるのですが、長くなりすぎますので、自粛。

昭和17年の御製のみ。

>峰つづきおほふむら雲ふく風の

>はやくはらへとただいのるなり

です。

ありがとうございます

わがままな申し出に、お答え下さりありがとうございました。

発表前に手が入っていても、和歌は透けて見える何かを感じることが出来ると思います。

そうですね・・・
国難ともいえる数々の震災時の皇室・宮家の方々の行動には、目からうろこといいますか・・
より一層敬いたいと感じたり、「怒」が入るがっかりした気持ちだったり・・しました。

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