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  1. ことばのたのしみ
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散りぬべき ときしりてこそ


なにか心さびしい、こころひもじい時は、短歌を読みます。

三十一文字の中につまった人の思いに触れることが、わたしには「いい」のです。

むかしの、皇子さま、皇女がたのうた。

   人言をしげみ言痛み生ける世にいまだ渡らぬ朝川渡る

    ひとごとを しげみこちたみ いけるよに いまだわたらぬ あさかわわたる

                              但馬皇女


但馬皇女と穂積皇子との恋は政略に翻弄される中での、「不倫」と呼ばれるものでした。

噂になって移されて皇女は、素足で川を渡る・・・これには、こんなことだってしてしまう、恋のためには、の、比喩も含まれていると思うのですが、一途に思い詰めて激しい。そして、切ないことに、もっと遠く引き離されて皇女は、はかなくなってしまった。

思われた方の穂積皇子は、

   降る雪はあはにな降りそ吉隠の猪飼の岡の寒からまくに

   ふるゆきは あはになふりそ よなばりの いかひのおかの さむからなくに


雪よ、そんなに降ってくれるな、ひとり岡に眠るあのひとが、寒いではないか。

と、詠む。詞書(ことばがき)に「悲傷流涕」(ひしょうりゅうてい)、人目はばからず声をあげて泣き、涙を流して、と残っています。

しあわせにしてやれなかった人への思いが、短い中に詰まっています。


恋のうたを「相聞」といい・・・互いに交し合う、のが本来の意味のようですが・・・、死を悼むうたを「挽歌」といいます。

相聞と挽歌は結び付くことが多いと思います。

万葉集には、殿上人のうたもあれば、名も無い防人のうたもあります。

防人は、国の最先端を防衛する兵士のこと、関東方面から、朝廷の命によって、朝鮮半島との間にある離島や九州沿岸部に配置された。随分と遠くへ。任期は一応、三年でした。

任期は無断で延長されることもあり、帰途に死んでしまう者も多かったのでした。

   わが妻はいたく恋ひらしのむ水に影さへ見えて世にわすられず

   わがつまは いたくこひらし のむみずに かごさへみえて よにわすられず


もう一首。

   唐衣すそに取りつき泣く子らをおきてそ来ぬや母なしにして

   からころむ すそにとりつき なくこらを おきてそきぬや おもなしにして


この兵の子らは、母親の無い子供たちなのでした。

うたの話になると夢中になるのですが。

万葉集は、古い古い歌集ですが、昭和の時代にも万葉集は編まれました。わたしのうたも一首、入れていただいています。うたを愛するというか、うたでしか自分を出すすべをもたない人々が、一首ずつ、募集に応じたのでした。

さがし物あると誘ひ夜の蔵に明日征く夫は吾を抱きしむ

   さがしもの あるといざなひ よるのくらに あすゆくつまは われをだきしむ

                         成島やす子 


二人になれない出征前夜の壮行会のにぎわいの中から、妻をようやく誘い出し得たこの夫は、無事に還ることができたのでしょうか。

 己が子の戦死告げらるるに振むかず祖母は身固く縄ないていし

 おのがこの せんしつげらるるに ふりむかず そぼはみかたく なわないていし

                         杉山葉子


さまざまな人々が、さまざまなうたを残しておられます。

好きなうたと言えば、限りなくあります、中に、やはり、細川ガラシャの

  ちりぬべき時しりてこそ世の中の花も花なれひともひとなれ

    ちりぬべき ときしりてこそ よのなかの はなははななれ ひとはひとなれ


享年38歳。

散りぎわを見さだめてこそ、いのちが花になる。

もう一首。

   惜しまじな君と民とのためならば身は武蔵野の露と消ゆとも

    をしまじな きみとたみとの ためならば みはむさしのの つゆときゆとも

                         和宮


細川ガラシャは明智光秀の娘、武家の女。

和宮は皇女として生まれ、徳川家茂にとつぐことになり、兄である孝明天皇に別れを告げて詠んだうた。17歳。

立場は人それぞれではありますが、防人のうたは別として・・・防人の妻のうたを、寡聞にしてしりませんのですが、待ちわびる姿を想います・・・日本の女性たちの、時にやせ我慢とも見える、ともかく凛と伸ばした背筋のさまを思うと。

あの夫婦のぐっだぐだのさまがまっことおぞましく。

やはり最後は、この言葉。

ともかく、とりあえず、まずは。

廃太子、廃妃を。















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  1. 2015.10.13 (火) 10:23
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この記事へのコメントでしたか。

「三十ヒトモドキ、と下さったお方。

削除されたようですが、また、よろしければ、コメント下さいね。

なかなかお返事書けずに遅れることがありますので、お許し願っています。

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Author:KUONの久遠
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四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

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