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返事の中までKUONです。

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行燈を買いに



事業の破たんで家を失ったり、人様に迷惑をかけたくないと意地を張ったりで、なかなか落ち着けませんでしたが。

今年のお盆のために、姑のところに、お盆提灯を買おうと思いました。

新聞のチラシに、涼やかな美しい行燈の写真がたくさん、のっていて。見ているうちに、幼い頃の田舎の家での情景が目に蘇りました。

蚊遣りの匂いがして。仏様の前に、大人用の大きな布団を敷いてもらって。

次の間との境の襖は開け放ってくれていて、白い琺瑯の電気の笠の下、分厚くて巨大なちゃぶ台を囲んで、伯父や伯母や祖母が、お経の日に来てもらう親戚の話などをぼそぼそ話し合っている声を耳にしながら、うとうとと眠りに入って行った。

水色の、花や弦の模様の大きな行燈が、くるくると夢のように回っていました。

私の家には行燈が無く、綺麗だからうちにもあるといいのになあ、など、思い、思い、寝息に代わって行ったのだと思います。


夫と結婚して初めてのお盆が、あまりにもすることが多くて驚いて、暑い時期におはぎを山もり作るのも、おナスをたいたりものすごい量の天ぷらを揚げたり若い親戚のために、ハンパでない数のケンタのチキンを買い込んで来て、安堵顔の姑に、

これは、冷めたらあまり、喜ばれないかも、

などと提言して、イヤな顔をされたり・・・それはビンゴであって、親戚の若い人たちは、買い置きのチキンは召し上がらず、何もかもが残ったなか、晩ごはんはこれやでと、何ピースも脂ぎったチキンを頬張り・・・けっこう、美味しく頂きました、若かったから。(笑)。

ソウメンは延びたものを、おはぎはしっかり匂いを確かめて、お盆、お正月と言えば、残り食べ物物整理班。

姑は、戦争中にお腹の空く年代だったせいか。とにかく。なんでも、どっさり、たっぷり、余るくらいに用意しなければ気の済まない人でした。今は、台所から退いておられます。今でも煮物は絶品と思いますが。次男夫婦とずっと、お暮らしで。

お寿司をとるのも大量にとる。お坊様にお出しして(ほとんど)余った握り寿司を、色などを確かめながらおそるおそる食べた夏の記憶も、いま、蘇りました。(笑)。

人寄りの多い家で、どなたにも思いきり沢山食べていただく姑でした(今も健在)、お料理も上手でした。

婚家のお盆は、食べ物整理の記憶。思えば、おかあさん、よく、しやはったなあ、と、感じ入るのは、私がトシをとったせい?。

私が太ったのは、そういう家の長男のヨメだったからです。

そういうことにしておきたい。しておきます。(笑)。


大内行燈。


夫の実家も私たちも同時期の引っ越しの折に、同居の夫婦に、そんなものは捨てて行けと言われたと、悲しそうに姑が訴えた時。

私は、行燈どころでなかった。姑の淋しさに触れてあげられませんでした。


今は、単に新しいだけのそれであっても、買って差し上げられます。

明日、土曜日、一緒に見に行こうと決めました。

蚊取り線香の煙の立ちのぼり、たゆたう中、夕暮れてくれば行燈を灯して。

姑は、生涯仲よくなれなかった舅を、キュウリの馬だかおナスの牛に迎えて。

姑の今年のお盆は、どんなものになるでしょうか。

もう、あの世もこの世も境なんかあらへんのと違うか。

先日会った時には、そんなことを言って笑ってはりました。八十八歳。

「行燈買うてくれるの、嬉しい」。

と。よく聞こえないはずの電話の向こうで、声を弾ませてくれてはった。今はもう、幼い子のように、なんでも「ありがとう」のおかあさんになってはります。

ええの選んでな、おかあさん。一番きれいと思うのを。どんなんでも、買うたげるよ、と。

エエカッコできますかしら。(笑)。



・・・・・・あれこれあれこれご心配をおかけして。呑気なこと書いております。

本当にありがとうございます。

私は気が強いです、申し訳ないくらい。

ありがとう。







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  1. 2015.06.26 (金) 11:36
  2. URL
  3. さすらいの旅人
  4. [ edit ]

人はこのように同じところに留まっているように見えても、魂は旅を続けるのですね。
  1. 2015.06.26 (金) 12:43
  2. [ edit ]

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2015.06.26 (金) 13:39
  2. URL
  3. ふくちゃん
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安心しました

KUON様
ありがとうございます。

KUON様の綴られる文章は優しく温かです。情景が浮かびます。
どなた様かが仰っておられた癒し・・
私は これがKUON節の真髄だと思っています。
厳しいお言葉の裏には なんとも言えない温もりを感じてまいりました。
お誕生日のお写真は柔らかな日だまりのようでした。

なんか書いている間に目頭が熱くなり
おつむもこんがらがって来ました。
私 大丈夫か?!
とにかく嬉しかったのでコメントさせていただきました。ごめんなさい。

きっと良い流れに戻る。
そう感じました。
  1. 2015.06.26 (金) 13:40
  2. URL
  3. プリン
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田舎を思い出しました。

提灯とか…
田舎は、とにかく、初盆、法事、、、とにかく、派手でした。

そして、田舎料理も、すごくて、、、

でも、もう、今は、仕出しだったり、料理屋さんで食事したり、、、

私の田舎は、巻き寿司を何本、何十本も、、、心持ち、酢を効かせて、作られたお寿司、おいしかったなぁ。

きゅうりが馬で、
茄子が牛でした。

そういえば、今は、スーパーだと、本当に真っ直ぐなきゅうりばかりですね。

曲がったきゅうりも、懐かしく思い出しました。



  1. 2015.06.26 (金) 14:53
  2. URL
  3. igaiga
  4. [ edit ]

こんにちは。

いつも読み逃げばかりしてました。
今まで知ることのない、気づくことのない視点でのブログで目からうろこがポロポロでした。

私の姑は結婚して10年目でやっと授かったうえ、私とダンナの年齢も一回り違いますので、姑というよりおばあさんですがw

KUONさんがお話になった年寄り特有の「大量に」がとても分かります。
本人いわく「たくさんつくらないと美味しくない」そうで・・・我が家には子もいないし、3人でどうやって?の量ばかりでした。
もう高齢で歩くのも何かに捕まらないと歩けないので台所などはもう遠慮してもらってます。

世代の違いってあるよなーと思いながらも、たまにあの大量の料理が懐かしいです。
量を見たときは内心腹が立ちましたけどね(笑)
  1. 2015.06.26 (金) 17:36
  2. URL
  3. hortencia
  4. [ edit ]

季節感の漂ってくるような、ほっこりした文章に癒やされました。

もうすぐお盆ですね…。

  1. 2015.06.26 (金) 21:17
  2. URL
  3. ちりぬるを
  4. [ edit ]

嵐過ぎさり

行く川の流れは絶えずして、
然も、もとの水に非ず。
何か無常観に浸り、口ずさみました

kuonさまも、長男のお嫁さんとして
色々あったのでございますね。
私のところは、次男ですので気が楽でございますが、実家の方が
公家、武家出の両親にはさまれ
大変と言えば、大変でした。
全く考え感じ方が違うのですから。
私は?と言うとmixです。
襲色目が大好きで、為さねばならぬも大好きですので。
先のコメントで、kuonさまおすすめの、と書くところをkuonおすすめの
となってしまいました。
失礼しました。
明るくお茶目で優しさの中に
強さも見えますkuonさま。
色々ご教示くださいませね。
  1. 2015.06.27 (土) 12:12
  2. URL
  3. 卯月
  4. [ edit ]

KUONさんの素敵な文章に自分の元風景もよみがえりました。
子供の頃は、親戚が一堂に介する楽しいイベントでした。お盆の意味を知るのはもっと大きくなってからですが、いとこ達と夜更かししても怒られないのでワクワクしました。

話は変わって、これはワタシが読んでいる漫画の受け売りなのですが、
お盆にあの世からご先祖様が戻って来られる時に少しでも早く来られるように胡瓜の馬でお迎えするそうです。逆にお盆が終ってあの世へはなるべくゆっくり帰っていただけるように茄子の牛なのだとか。
ご先祖様を思いやるお供え物の意味を知り、いくつになっても日々勉強だなあ!と思いました。

お姑さんに気に入っていただけるような素敵な行灯と出会えますように。

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プロフィール

KUONの久遠

Author:KUONの久遠
     ・・・・・・・・・・・・・・

四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

    ・・・・・・・・・・

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