KUONのブログへようこそ。

返事の中までKUONです。

  1. ことばのたのしみ
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小さきわれの墓標たまはれ



身のまわり大したモノは無いのですが。

コピーやメモ類の紙屑、読み捨てて放り出してある沢山の本。整理すべき紙関係が異常に多いのは今に変わらず。

整理しようとしていてつい、読みふけってしまった、かつての歌友さん方の作品たち。

ちっとも片付かない中で、今は亡い懐かしい方々の「うた」・・・うたは、訴え。

厳しく優しかった先輩がたの遺された思いを、あらためて文字にしてみたくなりました。


   抽選にて夫(つま)の引きあてしデコ・ケーキ老いの二人のイブの灯ともす

   病む多く子を為さず来て五十年 夫(つま)の手いまだもわれに優しき

   涙垂りてくれずともよしその胸に小さきわれの墓標たまはれ


長く脊椎カリエスを病まれ、小さな小さなお体でした。美貌の方で、歌会について来て下さる夫君にエラそうに(ご本人いわく・笑)ものを仰り、でも頼りにし切ったひたすらなまなざしで夫君を見上げる方でした。

   もやもやと夜明けの床にただよへる夫(つま)のたばこのけむり目に追ふ

この一首など、「えらい雰囲気あるやん、これホンマに「夫」さんのうたかぁ?」 などからかわれて、楽しそうに笑っておられた。

夫さんより先に、静かな死を迎えられました。


   生まれきて三日を保たず逝きし子の足の小指のわれに似てゐし

   うなぎ定食に一本つけむ街に来て古稀なる妻の生誕を賀す

   眼を疾みておぼろの光散り乱る春は明るく無限に白き

   雪はげし大和は昏し古塚の貴人起きませ歩まむは今



美術の教師でいらしたSさん、お子さんを失くされて奥さまと慎ましい睦まじいお暮らしでした。

晩年はほとんど失明状態でしたが、杖をつかず一人で、歌会にも来ておられた。

「私は目が見えませんが、〇子さんは、想像するに絶世の美女でいらっしゃいますね。」

生真面目一途のSさんにそう言っていただいた「○子さん」は、私(・・・)。会の中で一番の若輩者で、小さくなっていた時期(そんな昔もありました)だったので、とても嬉しかった。やはり真実がお見えになるのね~、と。(笑)。

改めて申すことではありませんが、私が「絶世の美女」だったのは、Sさんの心の中で、です。

歌会の帰り、いつもはどなたの支えも断られるのに、私には手を預けて下さって。うたの話などしながら、ゆっくりと駅まで歩きました。桜の季節には、桜の話をしました。

最後の歌会で、黒一点、乾杯の音頭をとられてそのまま、す~っと後ろに倒れられて。

救急車の中で、もう、意識が無かった。私は一緒に乗り込んで、痩せて骨ばった手を、ずっとさすっていました。

いたそうです。記憶が無い。翌日、奥さまのお見守りの中、静かに逝かれました。

   をとめらの化粧(けはひ)清しく初春の風花光る地にとどくまで

すでに全く見えていなかったというSさんの、最後の歌会・・新年歌会に出しておられた詠草です。

このうたを皆で語り合うこともないまま、数十年に及ぶ作歌も、人生も、終えられました。


   待ち待ちし皇太子妃の内定を聞きて今宵のこころゆたけし

   教養とはかかるものかも自が意志を怯まず披瀝す皇太子と妃と


Eさんは、このようなうたを詠んでおられた・・・。

敗戦で完全に精神を破壊された職業軍人だった夫君のアルコール中毒、妄想幻視暴力に苦しみながら生きつつ、皇室が大好きで昭和天皇を畏敬され、

   大欠伸 破顔一笑うつしゑに遺せる天皇(きみ)が人間のすがた   

今上の即位を

   束帯に威儀を正せる天皇の微塵ゆるぎのなき御姿よ

まっすぐな日本女性でいらした。

   駅に来てひそかに付けぬイヤリングをまた買ひしこと誰にも内緒

ようやくゆとりをお持ちになれた晩年はとてもお洒落、素敵な帽子をかぶりこなされる方だった。靴もいつも、素敵だった。私を可愛がって下さった。

   夜の更けを汽車の走りてゆくらしき大和の国の音の幻想


もう、どなたもこの世にはおられません。

初めにご紹介したMさんのうた、

「その胸に小さきわれの墓標たまはれ」

・・・思いは今も生きております。











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  1. 2014.12.22 (月) 13:53
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  3. アビ
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KUON様 こんにちは~

忙しい日々の中ブログの更新ありがとうございます。^^
「うた」は私には難しく良くわかりませんが、
限られた文字数の中に、その方の喜びや哀しみが美しい日本の言葉に
込められておりジーンと伝わってきますね。
日本人として生まれてきて本当に良かったと思います。
いつまでも美しい日本であってほしいと願います。
  1. 2014.12.22 (月) 16:21
  2. URL
  3. ひーたん
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KUON様こんにちは。

今日の記事を拝読させていただきながら、母の大親友だった女性を思い浮かべました。

母とは姉妹同然のようなお付き合いをしてくださった方で、歌の会にも通われていました。
数年前の新聞の地方版の短歌選で入賞し、ご本人が入賞記念に親しくしているお仲間で昼食会を開きました。(呼ばれていない私の分までお弁当を用意してくださいました。)

喜びを分かち合いたいの名目で年配のお仲間の集まりを用意されたのだと母が言っていました。

地元のそこそこの名士の奥様でしたが急逝され、残された私の母を気遣うお仲間もいてくださいました。

お茶に生け花、若かリし頃に日本舞踊の名取も取られていた方ですが、偉ぶることなく人望もあり、娘がいないため「ひーたん、ひーたん」と可愛がっていただきました。

いろんな種を蒔いてまわりを見ていた方だったなと、KUON様の今日の記事から亡き方に思いを馳せております。

御歌からまったくズレた私事のコメントをお許し願います。

KUON様、
年の瀬の慌ただしき中、お身体ご自愛くださいませ。
  1. 2014.12.22 (月) 20:23
  2. URL
  3. KUON
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アビさん

こんばんは。(笑)。

>日本人として生まれてきて本当に良かったと思います。
>いつまでも美しい日本であってほしいと願います。

少女の頃に「赤毛のアン」を読んでいて。多分まちがっていないと思うのですが、アンは、自分の名前のスペルを「ANN」でなく「ANNE」でありたいと・・・いや違う「AN]でなく「ANN」だったか・・とにかく、かくありたし、があったのですよね。で、私はカタカナの「アン」としか当時はイメージできないので、とても不思議だったのでした。

他人にとっては「たかが」でも、当人にはとても真剣な意味がある・・言葉について感じ始めたのはあの頃だったでしょうか。

他国に乗っ取られて、母国語を奪われてしまうなど、考えたくないことです。

時にはきっぱり「NO」を言って行きたい。

絵馬のことも、ご注意なさって続けて下さいね。私も続けます。
  1. 2014.12.22 (月) 20:32
  2. URL
  3. KUON
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ひーたん さん。

私にまで、使いやすい布の手提げを下さったお母さま。

そのお母さんの、お友達さん。

>>喜びを分かち合いたいの名目で年配のお仲間の集まりを用意されたのだと母が言っていました。<<

優しいお気遣いですね。いいことはシェアするとね。

>娘がいないため「ひーたん、ひーたん」と可愛がっていただきました。

ひーたんさん素直で一途で可愛い人ですものね。可愛がってくれる人が多いのは幸せですね。

>>いろんな種を蒔いてまわりを見ていた方だったなと、KUON様の今日の記事から亡き方に思いを馳せております。<<

読んで、なんか素敵な方だな~と、思いました。憧れるような同性の先達を持っていることも、幸せですね。

思い出すこと、覚えていることが何よりの亡き方へのご供養とか。

自分があちらへ行く時までは、心の中に、亡き方々は生きておられます。


  1. 2014.12.23 (火) 00:10
  2. URL
  3. 藍色
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KUON様、こんばんは。

御歌、何度も読ませて頂きました。
どうしてだか、全ての句で先日お亡くなりになられた高倉健さんを想起しました。


すぐそこに、これを詠んだ方がおられるような、そんな気さえするのに、
もう、どなたもこの世にはおられないのですか・・・


けど。
「思いは今も生きております。」
そうですね。本当に。
歌が残っていれば、未来に生まれる人にも、きっとその思いは伝わります。

歌を詠める方がうらやましいです。
じゃ自分もやりゃあいいやん、と必ず人から言われるから、口に出して言えませんが(才能ないっちゅーに)。
読むのは大好きです。また素敵な歌を載せてください。

咳カゼが治らず、カリンのど飴をコーヒーで流し込みながら打っているせいでか
纏まりのない文章になってしまい、失礼しました。
KUON様もお風邪など召されないよう、くれぐれもお気をつけください。
  1. 2014.12.23 (火) 08:13
  2. URL
  3. 勿忘草
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朝のひかり

KUON様

おはようございます。

冬至が過ぎ、雲の間から新しい太陽の光を仰ぐことが出来ました。
日の光にも四季折々の輝きがあるのだと清められるような一瞬でした。

先日、「特ダネ」とかいう番組で古市○某とかいうコメンテーターが
豪雪のニュースを受けて、「こんなニュースを見ると、日本の四季なんていらないと思う」といった旨の発言をしていて驚いてしまいました。確かに豪雪は大変な苦労。時にはけが人や命を落とす方もおられる。しかし、四季折々に培われるものは国民の精神性であったり文化であったり様々あるはず。言葉が軽くなったのか・・感性が変化したのか。そもそも、四季の区切りがはっきりしなくなっている昨今ではないのか・・・などと様々な思いが巡りました。

心のうちの思い溢れる様々な「お歌」も、お一人一人の大切な人生の四季模様だと感じます。お目にかかったことはないけれど季節の風が心に届くように思います。

良い一日をお過ごしください。
  1. 2014.12.24 (水) 20:15
  2. URL
  3. KUON
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アビさん。

確かに、決算だ年末だと、兼業ばあちゃんですから忙しかったりはするのですが、自分のここは私の、大いなるヨロコビの場所なのです。

つながり。が・・・。知らなかった世界が。あれこれ。


>>「うた」は私には難しく良くわかりませんが、
限られた文字数の中に、その方の喜びや哀しみが美しい日本の言葉に
込められておりジーンと伝わってきますね。<<

喋る言葉とは、たしかに違うので。しかも古典的な仮名遣いが多いので、難しい、と感じられるのは、よく解ります。確かに、技術的なものを無視も否定もできないと思います。でもさあ。

限られた文字数の中の、ひとの喜びや悲しみが込められて、ジ~ンと。

これで、十分、うたを解って、感じておられると思います。

私はやはり、うたが好きです。

折々に、ご紹介させて頂こうと考えています。

日本語は美しいですね。
  1. 2014.12.24 (水) 20:40
  2. URL
  3. KUON
  4. [ edit ]

藍色さん。

ご紹介したすべてに、高倉健さんを想起されたと・・・

皆さま、世の隅っこで、いわば名も無く富まず、ささやかに生きておられた方々だったと思います。しかし、誇り高い方々でした。

社会的にはさまざまな立場の方がおられたのですが、皆さん、会では「一うたびと」でした。何もトラブルが無かったわけではないが、皆さん、賢い方々でした。会の雰囲気を乱したり汚したり出しゃばったりの方は、自然消滅して行かれたのです。主催だった方が亡くなられて、会は終わりました。

続けたい方は新しいリーダーに ついた。私が感じたのは、こういうものも一期一会。形だけ存続、継承するものではないよなあ、ということです。もっと学びたい方は、会の名も新たになった新リーダーにつくのは当たり前。その方なりの会が育って行くのです。

私の師は、亡くなった方、ただ一人でした。

そう思わせる師についておられた方々のうたを紹介したので、その感じをお持ちになったのかもしれませんね。

偉大なる「日本人」高倉健さんを想起させたのかも。

やせ我慢もいいじゃないか。

どんな金ででもゼイタクしたら得じゃんか。などという卑しさ、そういったことの、逆方向の生き方です。

健さんは、そういう方だったですよね。
  1. 2014.12.24 (水) 21:02
  2. URL
  3. KUON
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勿忘草さん。


毎日ばたばたして、朝食の片付けから洗濯物の事、ざっとした掃除なども、朝の8時までには済ませようとジタバタしています。(笑)。

今朝は見たい、と特に思わないと、昔の朝のワイドショー、みたいなのとか、観ることは少ないです。特ダネと言うと、あの、エラそうな知ったかぶりのオジサンが司会している番組ですね。何でも

「僕は以前からこれ、指摘していたでしょお」

と言いたがるヒト。なるほどそこで、四季などは無くていい、などの発言があったのですか・・・。

むむむ。何ともかとも。言う言葉がありません。それって、何かを生み出しうるコトバなのかしら、と、呆れると言うか。

段取りや時間制限やスポンサーの顔色や、自分のキャラクター的な役割ばかり気にしている中での、発言。

勿忘草さん。

虚をつかれるって。こういうことなのでしょうか?。

いつも私の身をお気遣い下さり、ありがたく思っています。風邪っぽい時は、漢方薬のお世話になっております。(笑)。
  1. 2014.12.28 (日) 01:34
  2. URL
  3. sarah
  4. [ edit ]

「その胸に小さきわれの墓標たまはれ」

「自分があちらへ行く時までは、心の中に、亡き方々は生きておられます」

13日に、家族である老猫を見送りました。
かわいい三毛猫でした。

「会うは別れの始め」と思ったり、「散る桜 残る桜も 散る桜」と思ったり・・・。

お師匠のこの言葉に救われました。


愛おしい仔 冬に旅立ちぬ あすからは 小さき墓標 胸にいだきて
  1. 2014.12.30 (火) 21:17
  2. URL
  3. KUON
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sarahさん。

18年、共に暮らした猫さんが、亡くなってしまわれた。

以前まだ、やさいさんチでのお知り合いだった頃、添付に送って下さった猫さんたちの写真の中に、イブちゃんもいたのですね。

手入れの届いた品のいい、伸びやかな幸せそうな猫さんたちでした。

・・・何もうまく言えませんが。

私が愛猫を亡くした時に詠んだ一首、ここに置かせて下さいね。あの時、本当にこんな気持ちだったのです。


   すこしづつ覚悟促しその果てに逝きたり われを愛し呉れしか


万語を費やしても、可愛かった子を亡くした方のお心には届きようが無いと思います。

おそらく私も、sarahさんが大切に思い続けた猫さんのことを、覚えているでしょう。

自分があちらへ行く時までは。それでいいと思うのです。・・・途中で〇ケてしまったら、それはそれ。意識のある内が自分だと思うので、後のことは知らん。(笑)。

清潔に、そこですぱっと、この世からは消える。

あちらの世が、もしもあるならば、そこで会える。




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プロフィール

KUONの久遠

Author:KUONの久遠
     ・・・・・・・・・・・・・・

四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

    ・・・・・・・・・・

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