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返事の中までKUONです。

  1. 悲しいこと
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めめずの子ならばめめずの親。


明日は違う記事を書きたいと考えています、今夜はもう少し「苦界浄土」の中から引かせていただきます。前回引かせてもらった部分をもっとたくさん。。

ゆき女きき書」   引用(渡辺京二氏に拠る)。KUON註:この渡辺氏が、今回の石牟礼さんの未発表原稿の発見にもかかわられたのです。共に90歳にあと幾つか、というお歳です。


坂上ゆき 大正三年十二月一日生 
入院時所見
三十年五月十日発病、手、口唇、口囲の痺れ感、震顛、言語障碍(中略)
歩行障碍、狂躁状態。(中略)絶えず(中略)(舞踏病)運動を繰り返し、
視野の狭窄があり、(中略)知覚障碍として触覚、痛覚の鈍麻がある。
                             (石牟礼2004:140)

「所見」はこれに「生来頑健にして著患を知らない。」とつけ加える。
ゆき女はこう語る。



──うちは、こげん体になってしもうてから、いっそうじいちゃん(夫のこと)がもぞか(いとしい)とばい。(中略)うちゃ、今のじいちゃんの後入れに嫁にきたとばい、天草から。嫁に来て三年もたたんうちに、こげん奇病になってしもた。(中略)うちはひとりじゃ前もあわせきらん。(中略)それでじいちゃんが、仕様ンなかおなごになったわいちゅうて、着物の前を合わせてくれらす。(中略)うちは、もういっぺん、元の体になろうごたるばい。親さまに、働いて食えといただいた体じゃもね。病むちゅうこたなかった。うちゃ、まえは手も足も、どこもかしこも、ぎんぎんしとったよ。海の上はよかった。ほんに海の上はよかった。うちゃ、どうしてもこうしても、もういっぺん元の体にかえしてもろて、自分で舟漕いで働こうごたる。いまは、うちゃほんに情なか。月のもんも自分で始末しきれん女ごになったもね……。(中略)心ぼそか。世の中から一人引き離されてゆきよるごたる。うちゃ寂しゅうして、どげん寂しかか、あんたにゃわかるみゃ。ただただじいちゃんが恋しゅうしてこの人ひとりが頼みの綱ばい。働こうごたるなあ自分の手と足ばつこうて。海の上はほんによかった。じいちゃんが艫櫓(ともろ)ば漕いで、うちが脇櫓ば漕いで。
                             (石牟礼2004:150-152)


もうひとつ。

六歳で発病し十七歳に達した娘、ゆりを育てている夫婦の会話。「とかげの子のごたる手つき」と「目あけて首のだらりとする」 (石牟礼2004:265) 死んだ鳥のような植物状態の娘のおしめを替えてやりながら、妻は夫にいう。



「あんたとうちゃん、ゆりが魂はもう、ゆりが体から放れとると思うかな」
「神さんにきくごたるようなことばきくな」(中略)
「木にも草にも、魂はあるとうちは思うとに。魚にもめめずにも魂はあると思うとに。
うちげのゆりにはそれがなかとはどういうことな」(中略)
「あんまり考ゆるな、さと」(中略)
大学の先生方もそげんいうて、あきらめたほうがよかといいなはる。親ちゅうもんはなあ、あきらめられんよなあ。(中略)ゆりが魂の無かはずはなか。(中略)木や草と同じになって生きとるならば、その木や草にあるほどの魂ならば、ゆりにも宿っておりそうなもんじゃ、なあとうちゃん」
「いうな、さと」
「いうみゃいうみゃ。

──魂のなかごつなった子なれば、ゆりはなんしに、この世に生まれてきた子じゃいよ」
「(中略)目も全然みえん、耳もきこえん。(中略)えらか先生方に何十人も手がけてもろても治らんもんを、もうもうたいがいあきらめた方がよか」
「あきらめとる、あきらめとる。大学の先生方にも病院にもあきらめとる。まいっちょ、自分の心にきけば、自分の心があきらめきらん。あんたなあ、ゆりに精根が無かならば、そんならうちは、いったいなんの親じゃろか。(中略)」
「妙なことをいうな、さと」(中略)
「(中略)うちはなあとうちゃん、(中略)
ゆりが草木ならば、うちは草木の親じゃ。ゆりがとかげの子ならばとかげの親、鳥の子ならば鳥の親、めめずの子ならばめめずの親──」
「やめんかい、さと」(中略)
「ゆりからみれば、この世もあの世も闇にちがいなか。ゆりには往って定まる所がなか。
うちは死んであの世に往たても、あの子に逢われんがな。
とうちゃん、どこに在ると?ゆりが魂は」
「もうあきらめろあきらめろ、頭に悪かぞ」
「あきらみゅうあきらみゅう。ありゃなんの涙じゃろか、ゆりが涙は。
心はなあんも思いよらんちゅうが、なんの涙じゃろか、ゆりがこぼす涙は、
とうちゃん──」



↑で、じいちゃん・夫が「もぞかばい(愛しいよ)、何もできなくなってしまったよ、一人で世の中から引き離されるみたいに心細い、寂しいよ、病気などしたこと無かった、手も足もどこもかもぎんぎんしとった・・もう一度海の上で自分で舟漕いで働きたい、親に、働いて食えと授かったからだだった、海の上はよかった、じいちゃんが艫櫓こいで、うちが脇櫓漕いで・・・と訴えている「ゆき」さんが、つまり、昨日の記事で、淡々と解剖の描写をされていた当人の、ゆきさんです。

屈強の漁師も、たくましい土着の女も、垂れ流されたメチル水銀の猛毒の前ににばたばたと倒れたのでした。

当初、チッソの事業は「国策」でもありました・・・。




 
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  1. 2014.09.05 (金) 23:42
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  3. 主婦
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~不敬ながら、毎日が、御 即位前~

コレ、
この事、本当に、わかっている人、少ないと思う。

もう、時間的、無いんだ。

総選挙とかではなく、そのまま、即位の流れ。

不敬ですが、
何かあってから、
次の天皇陛下を皆で、誰が、相応しいか、、、
とか、言ってられない。

だから、廃太子、廃妃と、
今のうちに、声をあげなければダメなんだ。

コメント欄に書いて下さるよりも、
記事にして、一人でも多くの人に

と思います!!

私、大きな、勘違いしてました。

何かあってから、
会議が開かれて、、、
公務や信頼度から、もしかしたら、
秋篠宮家が、推されて、、、

なんて、花畑脳でした。
  1. 2014.09.06 (土) 02:27
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因果?

kUONさま、すみません今頃に。
ゆきさんの生まれた12月1日…I子さんの誕生日と同じです。
大袈裟かも、ですが、「因果」の文字を思い浮かべてしまいました。

国策…だったのですか。

重すぎて言葉が止まってしまってます。

合掌です。
  1. 2014.09.06 (土) 06:54
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  3. 衣通媛
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因果応報

チッソの経営者達に真言宗の僧侶が呪いをかけた…という話を聞いた事があります。
末代健常な子供が生まれないようにという呪いだったそうな。
確か双子の片割れの男児お二人も「いとこ」と同じ状態らしいです。
ソーカ系の暴力団を雇い被害者を蹴散らしユージン・スミスを半殺しにして、その娘さんを乱暴したクソどもです。
ユージンさんの写真に被害者親子と例の三姉妹の子供の頃の写真を対比させているのがあります。
何故慰霊に訪れないのでしょうか?
先帝陛下が入内に反対されたのは正しかった。
  1. 2014.09.07 (日) 22:22
  2. URL
  3. KUON
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主婦さん。

てえへんだ、てえへんだ~って、焦りまくっている気持ち、わかって下さって嬉しいです。
基本的に皇室のことなど、それ以外の誰かがそうこうできるものでもない・・・戦後、少し何か変わったとはいえ、やはり菊のカーテンの向こうのこと、なのでしょか。

ただ。今は、ある程度の事を、言えますから。云ってもどうにもなりませんが、不敬罪でどうこう、は、とりあえず無い・・・ナル夫婦がこのままなんとかなれば、みんなの気持ちは離れると思います、そこがまた、皇室を潰したい、貶めたい大きな力の「目的」ではありましょうが。

何ともいえない気分ではありますね。
  1. 2014.09.07 (日) 22:31
  2. URL
  3. KUON
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鈴さん。

そうなんですね。あまりあからさまには言うを憚りますが。

タイトルに「拘縮」と付けたのは、やはりあの指の強張り、変形、を、想ってみて下さい、の気持ちがありました。

あそこまで深く厳しい「恨み」の思い、呪詛としか言い得ない言葉・・・そういう気持ちも確かにあって、書きました。他の被害者さんたちの話も、重く厳しいです。重い方が多くて、事実だけがものすごく重くて。

またきっと、書くと思います。

昭和天皇も、まだこのような問題が表立って来なかった時期に、チッソの会社へ行啓なさっています。その事実もあるし、両陛下が、去年、水俣へ行かれたのではないかとも思います。秋篠宮両殿下が東欧の親善の旅の途次に触れられた「水銀の公害」とのお言葉にも、このことへの深い思いがおありだったのでは、と、考えます。

後からしか出て来なくて、解らないことがたくさんあります。
  1. 2014.09.07 (日) 22:50
  2. URL
  3. KUON
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衣通媛さん。

呪い・・・僧侶・・・何ともいえませんが。自分の寿命を縮めてでも、というくらいの覚悟と言うか捨て身と言うか・・・あるかも知れませんね。私が、できる立場なら、確信犯で呪詛をするかも知れません。

ただ、難しいですね、いいかっこしながらでは出来ない返事です。(笑)。

実際に、本当に、踏みつけられた深い憎悪や呪詛の思いが、形に現れて目に見える形で出ているじゃないか、と。

人は思って、驚き惧れ、巡る因果の確かさにわなないていても。

当人はてんで平気で、あっけらか~んとしてるってのを、見ると。

それで悩んで違う方向を見るようになる、とかでなく(そんなタマじゃないな、あの一族は。人ナラズ、だから)。、あらヤバいわ隠さなきゃ、みたいな最悪な方法しか思いつかず実行できないバカだとしたら・・・

胸に刻んで深く頭を垂れて、祈る。どこまでもどこまでも祈る。それしかない、それでもどう変わる訳でなくても、精いっぱい、自分の問題にするってだけでも。

救いの道はある・・・かな、とも感じますが。

現状では、苦しみながら無限の闇に沈んで行かれた方々の、思いの、受かばれようがない。

せめて一掬の涙を。一本の花を・…無いだろうな、救われないですね・・・。自分の、一番つらい、弱いところで苦しむしかないのかな、と。

これからですね、本番は。あれらには、、抽象的なことでは無理だから。逃げられない「親」という立場で、これから、大変な目に遭いなさいよ。しっかり遭うがいいわ。この言葉を吐いた責任くらいは、KUONちゃん、覚えておきます。(笑)。

のれんに腕押し、

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KUONの久遠

Author:KUONの久遠
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四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

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