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返事の中までKUONです。

  1. ことばのたのしみ
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  3. cm: 4
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乳母車


乳母車
                 三好達治

母よー
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき並樹のかげを
そうそうと風のふくなり

時はたそがれ
母よ 私の乳母車を押せ
泣きぬれる夕陽にむかつて
轔々と私の乳母車を押せ

赤い総ある天鵞絨の帽子を
つめたき額にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空を渡るなり

淡くかなしきもののふる
紫陽花いろのもののふる道
母よ 私は知つてゐる
この道は遠く遠くはてしない道


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この季が来たらご紹介したいと思っていた詩。

男のひとは、いろいろに、母をうたっておられるが。

女に、こういった詩はあるのかな・・・と。ふと首を傾げた、入梅の日の夜でした。


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  1. ことばのたのしみ
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星屑


  世のなかに光も立てず星屑の落ちては消ゆるあはれ星屑

                           伊藤左千夫



  1. ことばのたのしみ
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今日は濃い珈琲を

寺山修司の短歌をすこし。


ころがりしカンカン帽を追うごとくふるさとの道駈けて帰らん

海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり

夏川に木皿しずめて洗いいし少女はすでにわが内に棲む

パン焦げるまでの短きわが夢は夏美と夜のヨットを駆らす

夏蝶の屍をひきてゆく蟻一匹どこまでゆけどわが影を出ず

一本の樫の木やさしそのなかに血は立ったまま眠れるものを

胸にひらく海の花火を見てかえり一人の鍵を音立てて鎖す


        マッチ擦るつかのま海に霧深し
              身捨つるほどの祖国はありや


没後35年。

お母さんの言葉が残ります。

「五月に咲いた花だったのに

   散ったのも五月でした。」






  1. ことばのたのしみ
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  3. cm: 0
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日本の詩。

「風花未来」さんのところで出会った詩です。

水汲み

はだしの少女は
髪に紅い野薔薇を挿し
夕日の坂を降りて来る。
石だたみの上に
少女の足は白くやわらかい。
夕餉の水を汲みに
彼女は城外の流れまでゆくのだ。
しずかな光のきらめく水をすくって
彼女はしばらく地平線の入日に見入る。
果てしもない緑の海の彼方に
彼女の幸福が消えてゆくように思う。
おおきな赤い大陸の太陽は
今日も五月の美しさを彼女に教えた。
揚柳の小枝に野鳩が鳴いている。
日が落ちても彼女はもう悲しまない。
太陽は明日を約束してわかれたからだ。
少女はしっかりと足を踏んで
夕ぐれに忙しい城内の町へ
美しい水を湛えてかえってゆくのだ。


この一篇について、以下のように書いておられます。

>作者は田辺利宏さん。
ご存知ない方が多いかと思いますが、昭和16年に中国で戦死した方です。
この詩は、「きけわだつみのこえ新版 [ 日本戦没学生記念会 ]」に収録されています。
大陸とはもちろん中国大陸ですよね。
戦争で死んだ若者が、これほどまでに美しい詩を書いていたことを思うと、胸が痛みます。<

                              引用ここまで。

と。



  1. ことばのたのしみ
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みずみずしい。

どんな方か、失礼ながら存じ上げないのですが、あ、いいなあ、と立ち止まって味わった俳句群がありました。自分では詠めませんが、俳句を読むのも好きです。

米本ひとみ さん。

「suzuki shigeo」さんのサイトで見つけ、勝手にお借りして来てしまいました。どうもすみません。

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梅雨きざす波止に帆船灯ともせり   

水着着て恋のかたきと擦れ違ふ   

ティータイム一畳だけの海の家    

星涼し汀に残る砂の城         

雨あとの島の近さよ夏つばめ     

潮風に光飛ばして髪洗ふ        

潮騒や座布団で足る子の昼寝     

波引くと素足の下の砂騒ぐ       

夏萩の丘へ連れきて海見せる     

星涼し島の最高峰にゐて        

海の子の部屋より見ゆる夏の海   

寄す波の崩す砂山夕つばめ     

蠍座と平行に寝る浜キャンプ     

ビー玉の中のはるかな夏の海    

群青の岬の空や夏ともし        

ざこねして青蚊帳にきく波の音     

夏帽子最南端の風にぬぐ       

下船まですごす甲板ソーダ水 

    



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プロフィール

KUONの久遠

Author:KUONの久遠
     ・・・・・・・・・・・・・・

四十年以上住み慣れた奈良の地を離れ、海の近くへ越してまいりました。

海の見ゆる高層の部屋に耳遠き
夫(つま)とふたりの暮らし始むる

明確に、残生を意識します。余分なあれこれはもう要りません。
シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

    ・・・・・・・・・・

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シャネルの赤いルージュは変わらず。生意気なままの私でいたい、いようと願っております。

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